規格「日本産業規格(JIS規格)」
- 2021.08.05
- カテゴリ: 品質|Quality
|標準化
事業が発展すると必ず必要となってくるのが、品質、性能、安全性、寸法、試験方法などの規格です。
規格(standards)とは、「標準化(standardization)」という共通のルール(取り決め)をまとめ、制定したものです。
その目的は、「自由に放置すると、多様化・複雑化・無秩序化してしまうモノや事柄について、少数化・単純化・秩序化し、統一する」こととなります。
まず、各企業は、社内標準化に取り組みます。
しかしながら、各企業がそれぞれの規格で取り組んでいては、その事業は企業の域から出ることが出来ず、市場自体も混乱して発展させることは困難です。
そこで、使用実績などを前提として、関係企業や業界などで標準化された規格を制定することとなります。(デファクトスタンダード)
そこから、一般的な普及が進んだり、社会情勢によって、公の機関が標準化した規格の制定が必要となります。(デジュールスタンダード)
例えば、それは、日本であれば、日本産業規格(JIS規格)であり、国際的には、国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)規格などとなります。
https://www.benkan.co.jp/column/15061.html
|日本産業規格(JIS規格)
日本の産業製品に関する国家標準が「日本産業規格(JIS:Japanese Industrial Standards)」であり、JISまたはJIS規格と称されます。(以下、JIS規格)
元々は、1949年に制定された工業標準化法を基盤として制定された日本工業規格であり、戦後の日本の産業を発展させるために大きく寄与してきました。
しかしながら、市場が世界規模になっている現在、基盤となるルールや規格も国際標準が求められています。
そのため、国内の規格を世界標準化する取り組みは、日本の技術や製品が広く世界に受け入れられるために必要な要素でした。
また、近年では急速な情報化社会への変貌に伴い、従来の「技術」に加え、様々な「情報」の有効活用が成長のカギとなって来ています。
その様な背景を受け、2019年7月1日に工業標準化法と日本工業規格が共に改正され、現在のJIS規格となっております。
今回の改正では、国や各機関の取り組み、また、その取り組みに携わる方々への適切な環境、処遇を整備することで、「情報を活用した新しい産業」の創出と、日本産業の国際競争力を高める手段としての「国際標準化」の体制を強化することが目的となっています。
|コネクテッドインダストリーズ
これまで日本の企業は「モノづくり」で世界をリードしてきました。
しかし、近年は、IoTやAIなどの情報技術の革新が進み、企業の競争力はデータやその活用に移り変わってきています。
この様な環境の変化から、2019年の改正は、対象に データ、サービス、経営管理などを追加して、「コネクテッドインダストリーズ」の実現を目指すことを目的としています。
「コネクテッドインダストリーズ(Connected Industries)」とは、日本の経済産業省が提唱している概念です。
これまで培った経験、知識そして技術をデジタルに変換し、それをこれまでの産業と繋げることで新たな付加価値を生み出そうとするDX(デジタルトランスフォーメーション)にもつながる考えです。
例えば、ある金属加工メーカーが、職人技をデジタル化することによって工場の24時間無人稼働に成功し、社員数20名強の下請け会社から、社員数約120名を抱えるグローバルメーカーに発展したという事例もあります。
|規格制定プロセスの迅速化
また、注目すべきは、規格改正に伴う制定プロセスの迅速化も図られています。
従来のJIS規格制定には、業界団体などによる原案作成、主務大臣への申出、審議機関である「日本産業標準調査会(旧:日本工業標準調査会)」による審議などのプロセスを経て制定されていました。これには原案作成から制定までに多くの時間を必要としていました。
今回の改正では、新たに民間の「認定産業標準作成機関」を設け、この機関が検討・作成した原案については、日本産業標準調査会の審議を経ず制定できることになります。
制定プロセスの迅速化は、国内規格の国際標準化への展開を早め、日本が世界標準化をけん引する環境をもたらし、日本の技術や製品の国際競争力を高める手段となります。
※認定産業標準作成機関 ・一般財団法人日本規格協会 ・一般社団法人日本鉄鋼連盟
|今後の取り扱い
JIS規格は、日本産業の国際競争力を高める手段である国際標準化の体制を強化するものです。
しかしながら、過去には、その信頼性を失墜しかねない法令違反や不正行為が発覚しております。
これは、今回の改正でも重要視されている部分です。
例えば、従来はJISマーク表示違反の場合、行為者に対しては1年以下の懲役または、100万円以下の罰金、その所属する法人に対しても100万円以下の罰金が定められていました。
しかし、今回の改正では法人に対し1億円以下の罰金に厳罰化されています。
法令違反や不正行為は、国際的な信頼を損なうばかりではなく、消費者に対する裏切り行為でもあります。
意図的な悪用は当然ながら、仮に無意識であっても許されるものではありません。
ベンカンにおいては、経営責任、事業責任そして現場責任のJIS品質管理責任者などが連携をとって徹底した対応を実施します。
勿論、JIS規格の製品だけの問題ではありません。
正規の品質の製品をお客様にお届けすることが、私たちの使命です。
ベンカンの環境に今後どのように影響してくるかは想像できませんが、まずは日々の生産において、お客様に満足いただける製品の供給に努めていきたいと考えております。
Takayuki kinoshita