規格「日本水道協会規格」
- 2021.06.15
- カテゴリ: 品質|Quality
|規格の目的
事業が発展すると必ず必要となってくるのが、品質、性能、安全性、寸法、試験方法などの規格です。
規格(standards)とは、「標準化(standardization)」という共通のルール(取り決め)をまとめ、制定したものです。
その目的は、「自由に放置すると、多様化・複雑化・無秩序化してしまうモノや事柄について、少数化・単純化・秩序化し、統一する」こととなります。
まず、各企業は、社内標準化に取り組みます。
しかしながら、各企業がそれぞれの規格で取り組んでいては、その事業は企業の域から出ることが出来ず、市場自体も混乱して発展させることは困難です。
そこで、使用実績などを前提として、関係企業や業界などで標準化された規格を制定することとなります。(デファクトスタンダード)
そこから、一般的な普及が進んだり、社会情勢によって、例えば、日本であれば、JIS(日本産業規格)のように公の機関が標準化した規格の制定が必要となります。(デジュールスタンダード)
更に事業が国際的に発展しようとすると、今度は、諸国間の規格の標準化が重要視されることとなります。
それが、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)規格などとなります。
ベンカン製品あるいは製造事業所は、官公庁や専門機関あるいはユーザー規格など、その用途に適合した様々な規格の認定・認証を受けております。
https://www.benkan.co.jp/column/15061.html
|規格の体系
規格は、次に示す体系となっています。
最上位となっているのが、国家規格です。
国際標準化機構が定めるISO(International Organization for Standardization)規格がこれにあたり、ISO9001(品質マネジメントシステム)、ISO14001(環境マネジメントシステム)などが該当します。
次に来るのが地域規格です。
その代表が、欧州域内における、加盟国間の技術基準を統一するために制定されたEN規格(European Norm / European Standard)です。
特殊な扱いなのが、欧州においてはISO規格よりもEN規格が優先されている点です。
国家規格では、日本の場合は、「日本産業規格(JIS=Japanese Industrial Standards)」であり、産業製品に関する規格や測定法などが定められています。
その他、アメリカであれば ANSI規格(American National Standards Institute)、イギリスは BS規格(British Standards)、ドイツは DIN規格(Deutsches Institut für Normung e.V.)などとなります。
そして、最も実用的な規格ともいえるのが、団体規格です。
ベンカン製品であれば、日本の水道事業に関わる製品に定められた「日本水道協会規格(JWWA=Japan Water Works Association)、そしてステンレス配管に用いる継手を規定した「ステンレス協会規格(SAS=Stainless Association Standard)」などが該当します。
|日本水道協会規格 JWWA
「日本水道協会規格(JWWA=Japan Water Works Association、以下 JWWA規格)」は、水道事業で使用される資機材、薬品などの標準化を目的に公益社団法人日本水道協会(以下 日本水道協会)が定めた団体規格です。
その目的は、水道水の安全・安心の確保であり、規格毎に、適用範囲、使用される原材料等の組成・物性、浸出性を始め、対象製品の仕様及び性能等を一体として規定しています。
一般的には「JWWA品」と呼ばれて、ベンカンの製品では、モルコジョイントが「水道用ステンレス鋼鋼管継手JWWA G 116(以下、JWWA G 116)」に該当します。
JWWA G 116は、水道用ステンレス鋼鋼管および水道用波状ステンレス鋼管の接合に使用する継手の規格です。主に屋内配管用に使用するプレス式と地中埋設配管用に使用する伸縮可とう式の2種類があり、材質としてはSUS304(SCS13)とSUS316(SCS14)の2種類があります。
これは、JWWA規格である「水道用ステンレス鋼鋼管継手 JWWA G 116」に具体的な製品寸法および性能が規定されており、これらの要求事項に適合することに加え、その規格に適合する製品の品質管理体制が確立されていることが認定基準となります。
尚、このJWWA規格は認定制度を取っており、この対応は日本水道協会の「検査部」が対応しています。
その認定要件は、該当する規格に定められた仕様及び性能を満たし、かつ、品質管理体制が整備された製造場所であることとしています。認定に際しては、日本水道協会から検査員が派遣され、製品試験と共に品質管理体制の審査が行われ、適合性が認められると認定されます。
しかし、JWWA規格の認定対象は製品ではなく、規格に適合する製品を製造することができることを対象としています。その為、認定証書には「日本水道協会検査工場登録通知書」と記載をされます。
一般的に規格を取得した場合の認定証書には「・・・認定証」との記載が多く、また、認定された品名や規格番号を併記していることが多いため、この記載に対しお客様が疑問を持たれる場合がありますが、JWWA品については一般とは異なった表記がされています。
また、製品を認定品として市場へ出荷するには、日本水道協会の検査員による実地確認が必要となります。また、製品には適合の証として「水マーク(水の字を模した印)」を表示する必要があります。
一方、同じ日本水道協会による認証に「認証登録品」があります。その違いは認証の仕組み及び要求事項の違いにあります。
|認証登録品
「認証登録品」とは、供給者(製造事業者・販売事業者・輸入事業者など)に代わって、中立な信用のある第三者認証機関が性能基準に適合することを供給者の代わりに証明、認証する制度となります。(ちなみに、供給者自らが行う証明を“自己認証”と呼びます。)
そのため、一般的には「第三者認証品」と呼ばれる場合もあります。
日本水道協会は、この第三者認証機関として、給水用具等の水道法基準への適合性を確認する業務も行っております。但し、「JWWA品」とは異なり、日本水道協会の「品質認証センター」が対応しています。(日本水道協会以外の他の団体もあります。)
「認証登録品」の認定については、製品により区分され、その基準も水道法に示されている「給水装置の構造及び材質に関する省令」に基づく「基本基準」となります。
ベンカンの製品の区分は「継手類」となり、要求事項は「耐圧性能」と「浸出性能」が該当し、この基準に適合することで、登録、認証をされることになります。
認定に際しては、JWWA品と同じように日本水道協会の検査員が実地で製品性能と品質管理体制の確認を行い、それらの基準に適合することで認証の登録がおこなわれます。
また、JWWA品と同様、対象製品を認証品として市場へ出荷するには、日本水道協会の検査員による実地確認がおこなわれ、製品には適合の証として「水マーク(水の字を模した印の周りが囲まれたもの)」が表示されます。
但し、全ての品種が登録されているわけではありませんので、詳細は各営業所にお問合せください。
これらのように、日本水道協会がおこなっている認証ではあるものの、その仕組みと基準の違いにより厳密に言えば異なる認証となります。
お客様におかれましては、ご使用される部材に日水協品が指定されている場合は、JWWA品なのか認証登録品なのかをご確認いただくことで、その後のご案内をスムーズに進めることができますので、お気に留めていただければ幸いです。
Takayuki kinoshita