自社製品比較にてご説明、プレス式継手の品質性能!
- 2021.03.02
- カテゴリ: 品質|Quality
|継手の品質性能
一般配管用ステンレス鋼鋼管対応継手は、ステンレス協会規格(SAS322)で規定されるいくつもの性能試験をクリアしなければ、ステンレス協会の認定品として承認を受けることができません。
逆に、ステンレス協会規格(SAS322)の認定品であれば、充分な品質性能を持ち合わせる製品だと言えます。
しかしながら、実際の現場環境によっては、予想し得ないことが起きることも考えられますので、通り一辺倒の性能試験だけでは完璧であるとは言えません。
ベンカンでは、様々な状況下において性能を発揮できる製品をつくり上げる為、ステンレス協会で規定されている試験以外にも、独自の試験を設定しています。
ベンカンでは異なる3つの接合方式(拡管式・プレス式・ワンタッチ式)の製品を製造しております。
その中において「モルコジョイント」や「ダブルプレス」に代表されるプレス式継手は、パイプから塑性加工した製品ということもあり、がっちりとした見た目の鋳造加工製品に比べ、一見貧弱な印象をあたえるかもしれません。
ここでは、そんな「プレス式継手」の高い品質性能をベンカンが独自に行っている品質性能試験の値で証明したいと思います。
|水圧破壊試験(ベンカン独自試験)
まずは耐圧性能を確認する水圧試験です。
ステンレス協会の規定する(SAS322)水圧試験は、水圧3.5MPa(*1) を掛け、2分間保持した時に漏れがあってはならないとされており、ベンカン製品はプレス式継手を始め、全製品でクリアしています。
(*1)…最高使用圧力2.0Ma製品は水圧3.5MPaで、最高使用圧力1.0MaのモルコジョイントとEGジョイント(Su)は2.5MPaと決められている。
ベンカンではこのステンレス協会の規定する試験を実施後に、各製品の耐圧強度の限界を把握する為、配管が破壊に至るまで加圧し続ける試験を実施しています。(水圧破壊試験)
図のように長さ250mm以上の管をそれぞれの継手(図はダブルプレス)に接合し、水圧3.5MPa(モルコジョイント・EGジョイントは2.5MPa)を加え2分間保持し、漏れや抜けがないことを確認したあと、さらに加圧を続け破壊した圧力を下表に示します。
水圧破壊試験結果(破壊時の圧力を提示、単位:MPa)
呼び径 | SAS322規定* | モルコジョイント | ダブルプレス | BKジョイントⅡ | EGジョイント | ダブルプレス
差し込み不足 |
20 Su | 3.5 (2.5) | 12.7 | 20.6 | 32.7 | 20.5 | 参考値 12.3 |
50 Su | 3.5 (2.5) | 8.8 | 15.9 | 14.3 | 14.3 | 参考値 8.8 |
*SAS322の規定は、最高使用圧力2.0MPa製品は3.5MPa、最高使用圧力1.0MPa製品は2.5MPaの圧力を加える。
破壊時の圧力は全ての製品でステンレス協会(SAS322)の規定値の3倍以上の性能があることが確認できます。
プレス式継手の「モルコジョイント」や「ダブルプレス」もSAS322の値を大きく上回っており、優れた耐圧性能を示しています。
特に「ダブルプレス」の50Suの数値は、拡管式の「BKジョイントⅡ」以上の数値を記録しています。
全サイズの試験データは各製品の技術資料にて確認できます。ダウンロードはこちらから
尚、「ダブルプレス」は、管を差し込み不足(漏れがない位置まで管を差し込んだ状態)で接合をした場合においても「モルコジョイント」の正規接合時と同等の数値が得られ、SAS322規定値を大幅に上回っていることがわかります。(表の一番右:参考値)
これは「ダブルプレス」本体のセーフティーエッジ効果によるもので、「ダブルプレス」がセーフティー機能付プレス式継手であることの所以となります。
|水圧曲げ試験(ベンカン独自試験)
次にご紹介するのが水圧曲げ試験で、こちらもベンカンの独自試験です。
図のように長さ250mm以上の管をそれぞれの継手(図はダブルプレス)に接合し、水圧ポンプより2.5MPaに加圧した後、アムスラー型万能試験機を用いて中央部に荷重を加え、漏れ時の曲げ角度を表に示しました。
水圧曲げ試験結果(漏れが発生した曲げ角度を提示)
呼び径 | モルコジョイント | ダブルプレス | BKジョイントⅡ | EGジョイント |
20 Su | 30.0°漏れなし | 30.0°漏れなし | 26.0° | 20.1° |
50 Su | 19.0° | 30.0°漏れなし | 15.8° | 11.6° |
測定可能限度の曲げ角度30度になるまで荷重を加えても「ダブルプレス」は漏れが発生しない。(13~60Su全サイズ)
「モルコジョイント」も20Su(13Suも)では漏れが発生しない。
全サイズの試験データは各製品の技術資料にてご確認できます。ダウンロードはこちらから
プレス式継手は、継手本体部分が大きく曲がるほど荷重を掛けても、専用工具でプレスした接合部はしっかりと接合されたまま、緩みづらいことがわかります。
継手本体が頑丈で強度がある鋳造加工製品の「BKジョイントⅡ」や「EGジョイント」より良い試験結果となった。
大地震を想定しての試験ではありませんが、無理に配管に大きな力が加わった際の性能としては、拡管式継手を採用した配管に比べ劣るものではない。
むしろプレス式継手の方が優れていることをご理解いただきたいと思います。
塑性加工品継手の長所と言って良いかもしれません。