ダブルプレスがなぜ安全か?①「セーフティーエッジ」
- 2022.02.02
- カテゴリ: 製品|Products
|ダブルプレスのセーフティー機能とは
ステンレス配管としてのクオリティーや特性を備えながら、多くのお客様が求めるコストに対する優位性をもあわせもっているのが、プレス式継手です。
そのプレス式継手をより多くの現場、より多くのお客様に使用いただこうと製品化したのが「ダブルプレス」です。
「ダブルプレス」はプレス式継手を採用していただくお客様の施工管理をバックアップするために二つの「セーフティー機能」を装備しています。
ダブルプレスのセーフティー機能
・セーフティーエッジ
・セーフティー凹凸リング
セーフティー機能とは、文字通り「安全機能」のことで、「ダブルプレス」には接合作業時に施工不適合があった場合に大きな事故を未然に防ぐ機能が付加されています。
|セーフティーエッジが施工不適合による事故を防ぐ!!
プレス式継手は専用締付工具で締め付けた際に継手と継手内部のパイプが同時に凹み、その段差により接合強度を生み出します。
モルコジョイントやダブルプレスはこの凹みがあることで、配管がびくともしないわけです。
ダブルプレスの場合は、専用締付工具でのプレスで凹みを2箇所同時につくることから「ダブルプレス」と命名しており、この2箇所締めがより屈強な配管接合を実現させるのです。
締め付ける2箇所の内、継手端部のパイプ挿入口近辺部分のことを「セーフティーエッジ」と呼びますが、「セーフティーエッジ」の部分が存在しない「モルコジョイント」も充分な耐圧性能を誇っているのはご承知のところです。
セーフティーエッジの一番の役割は、屈強な配管を作り出すことではなく、仮にパイプの差し込みが不十分な状態で接合された場合においても、配管としての最低限の耐圧性能を満たしてくれるという部分です。
|セーフティーエッジのメカニズム
ある大手建築会社様にアドバイスをいただき生まれた「セーフティーエッジ」の安全構造の詳細、メカニズムをご説明します。
「ダブルプレス」の正規施工は図のL1パイプのように継手の奥に突きあたるまでパイプを挿入し、専用締付工具にてプレス接合を行います。
一方、L2パイプの位置までしか差し込んでいない状態(差し込み不足)で接合した場合は、ダブルプレス本来の耐圧性能を発揮する施工とは言えません。
しかしながら、セーフティーエッジがあることで、継手と継手内部のパイプが同時に凹み、配管としての最低限の接合強度は生み出すのです。
|セーフティーエッジ効果の検証①:水圧試験
セーフティーエッジの効果を検証するために、あえて「差し込み不足」のテストピースで水圧試験を実施しています。
一般配管用ステンレス鋼鋼管対応継手は、ステンレス協会の定める試験をパスすることを求められており、耐圧性能については「水圧を3.5MPaを加えた配管を2分間保持し、接合部分に漏れや抜け等の異常があってはならない」とされています。(最高使用圧力:2.0MPaの製品)
ダブルプレスはパイプ挿入が不足している状態(上図L2までパイプが差し込まれ接合した状態)でこれをクリアするのです。
|セーフティーエッジ効果の検証②:水圧破壊試験
水圧試験後に引き続き加圧をして、漏れに至った圧力を測定したもの(水圧破壊試験)が以下となります。
正規施工のもの(L1)とパイプ差し込み不足で接合したもの(L2)で実施しました。
水圧破壊試験
長さ250mm以上の管を管継手に接合し、水圧3.5MPa{ 35.7kgf/cm2 }を加え2分間保持し、漏れや抜けがないことを確認したあと、徐々に加圧し破壊(漏水)に至った圧力を測定した。試験体は正規施工のもの(L1)とパイプ差し込み不足で接合したもの(L2)の2種類
13Su | 20Su | 25Su | 30Su | 40Su | 50Su | 60Su | |
SAS322規定値 | 3.5MPa{ 35.7kgf/cm²} | ||||||
正規施工
(L1) |
23.0{ 235 } | 20.6{ 210 } | 16.2{ 165 } | 26.3{ 268 } | 16.3{ 166 } | 15.9{ 162 } | 7.5{ 76 } |
差し込み不足(L2) | 13.7{ 140 } | 12.3{ 125 } | 5.9{ 60 } | 15.1{ 154 } | 9.3{ 95 } | 8.8{ 90 } | 5.0{ 51 } |
水圧破壊試験の結果により「ダブルプレス」を正規施工(L1)した場合は、給水・給湯管に使用する上で充分過ぎる性能を有していることがお分かりいただけるかと思います。
同様に差し込み不足の状態(L2)でも、ステンレス協会が認定品に求める数値(規定値3.5MPa)を大きく上回る性能を持っていることを確認できます。
|まとめ
プレス式継手は専用締付工具でプレスをした際に継手及び内側のパイプを同時に凹ますことで、屈強な配管接合を実現しますが、「ダブルプレス」はパイプの挿入が不足した場合も、セーフティーエッジが存在することで、そのプレス接合を可能にするのです。
わずか10mm程度のセーフティーエッジではありますが、この小さな部分により、安心度合が高まります。