蒸気配管
- 2016.06.10
- カテゴリ: 知識|Knowledge
蒸気は物体が気体になった状態を指し、その利用は多岐にわたります。
一般的には水蒸気として知られることが多いですが、その応用範囲は広範囲に及びます。
加熱、加湿、動力源としての利用など、さまざまな用途で蒸気が活躍しています。
水蒸気は水が加熱され沸騰し蒸発して気体になったもので、最近では工業用途のみならず一般家庭の中でもスチームオーブンやスチームクリーナーなどで身近になっています。
蒸気の加熱・加湿用途では、主に「正圧蒸気」と「真空蒸気」の二つの形態があります。
「正圧蒸気」とは、加熱や加湿を目的として、最も一般的に使用されている0.1MPaから5MPa、110℃から250℃程度の蒸気です。
多くは、圧力と温度の関係が一定で、素早い加熱が可能な飽和蒸気の状態で使われます。
飽和蒸気とは、液相の水と気相の水が共存、つまり蒸発する速度と凝縮する速度が同じ状態の蒸気をいいます。
左添付の 「水の状態図」のT-C線上にあたります。
元が水なので、安全で低コストであり、熱伝導率が良いので、伝熱面積を小さく出来て、設備投資の軽減、均一な加熱が出来るため、品質・生産性向上も見込めます。
一方、食品など焼いたり、乾燥させたりする目的で使用されているのが、過熱蒸気です。
過熱蒸気とは飽和蒸気を更に加熱し続け、飽和温度以上に加熱した蒸気です。
大気圧で200℃から800℃まで温度を上げた常圧の過熱蒸気は扱いやすいので、スチームオーブンなどで使われています。
そして、「正圧蒸気」ともう一つの「真空蒸気」との大きな違いは、その“温度”にあります。
「真空蒸気」とは、大気圧以下で水を加熱し発生する100℃以下の蒸気です。
真空発生装置の設置が必要なものの、飽和蒸気の状態で使用すれば圧力調整だけで細かな温度設定ができ、設定温度への到達が早くムラのない均一な加熱が可能なため、近年利用が増えているものです。
「正圧蒸気」と「真空蒸気」の大きな違いは、その“温度”にあります。
「正圧蒸気」は、大気圧(100℃)以上で使用されるため、蒸気の放熱により気体から元の液体に変わる現象が起こります。
この液体を“ドレン”と言います。
一方、「真空蒸気」は大気圧(100℃)未満で使用されますが、「正圧蒸気」のように気化熱の放出がない、「凝縮潜熱伝達」であるため加熱が早く、均一な温度保持が効率的に行うことが出来ます。
次に、動力用途としては蒸気機関車が代表的ですが、今では発電所の蒸気タービンとして使用されるのがほとんどです。
国内では、25MPa・610℃の超臨界圧力の過熱蒸気が使用されています。
動力用として蒸気タービンに使われる理由として、ドレンが機器に損傷を与えることを防ぐことと、熱効率を良くすることで、発電効率が上がることです。
上記のような用途に飽和蒸気で使用された後、配管を通って、加熱装置へ戻される循環水が「蒸気還水」です。
冷やされたとはいえ、高温の水ですので、適切な配管と耐熱性のある継手が必要です。
ベンカンでは拡管式継手の「BKジョイントⅡ」が130℃以下の蒸気還水に対応可能です。(ただし、13Su・20Suは100℃以下となります。)
※蒸気還管で使用いただくにあたり、配管内に生蒸気が流れ込んだ場合、ゴムリングの寿命を著しく縮める可能性があります。その場合は、配管の確認及び配管替えをご検討ください。
今後、益々、需要が増えていくと予測される蒸気還水用継手として、是非「BKジョイントⅡ」をご検討ください。
tetsuo yoshida