ステンレス鋼
- 2020.09.24
- カテゴリ: 知識|Knowledge
|ステンレスとは・・・
ステンレスのことを「ご存じですか?」とご質問した場合に、多くの皆さまが「知っている」とお答えすると思います。
まだまだ歴史の浅い金属ではありますが、私たちの生活の中で、それだけ、なくてはならない存在になっています。
しかしながら、ステンレスとは、「なんですか?」とご質問した場合は、お答えできる方はすくないのではないかと思います。
そもそも、ステンレスの正式名称は、「ステンレス鋼」です。
英文ですと、「Stainless Steel」となり、「Stainless」は錆にくいを意味し、「Steel」は鋼のこととなります。
この名称からも、「ステンレス鋼」は、耐食性に優れた「錆びにくい鋼」であるのと同時に、絶対に錆びないものではないことを理解しなければなりません。
また、ステンレス鋼をSUS(サス)と呼ぶ場合もありますが、これは、金属を分類する上での一般的な前置記号が、SUSだからです。
SUSとは、S=鋼(Steel)、U=特殊用途(Use)、S=ステンレス(Stainless)の略です。
|ステンレス鋼の特性
ステンレス鋼とは、鉄(Fe)にクロム(Cr)を一定量以上配合して人工的に造った合金の一種です。
その定義は、「炭素含有量 1.2%以下・クロム含有量 10.5%以上の鋼」とされています。
その定義は、世界税関機構によって定められ、国際標準規格 (ISO) や 日本産業規格 (JIS)などでも採用されています。
よく、ステンレス鋼製のスプーンやフォークの裏に「18-8」などと数字表記がありますが、これは、18%のクロムと、8%のニッケルが含まれていることを意味します。
クロムと言えば、鉄などを錆にくくするためのメッキ材として有名です。
表面が輝いている金属をステンレス鋼だと思っていたら、実は、クロムメッキされた別の金属だったなんてことも少なくありません。
そして、このクロム(Cr)が大気中の酸素(O)と結合する事で、表面に1~3nm(ナノメートル)程の薄い「不動態皮膜」を形成します。※1ナノメートル=100万分の1ミリ
この「不動態皮膜」が保護皮膜となり、最大の特性でもある耐食性を高めている事になります。
更に、ステンレス鋼の優秀さを高めているのが、不動態皮膜の自己修復機能です。
仮に加工中や使用中に不動態皮膜が破壊されてしまった場合でもメッキや塗装と異なり、鋼中のクロム(Cr)と大気中の酸素が結合し、瞬時に再生します。
この再生に時間がかかれば錆びが進行してしまうため、瞬時に再生することは重要な機能となります。
「耐食性」の他、「ステンレス鋼」の特性としては、「耐衝撃性」、「耐久性」、「耐熱性」、「耐強度」、「耐候性」などに優れている点が上げられます。
|ステンレス鋼の用途
ステンレス鋼は、その優れた特性を活かして様々な用途に使用されています。
キッチン周りであれば、フライパン・鍋・包丁・シンクなど、食器類においても、スプーン・フォーク・ナイフなど、その他、医療機器や食品工場などに多く使用されているのは、錆びにくく衛生的な耐食性が活かされています。
建築分野では、ビルや住宅などの外壁、屋根、ルーフ、エクステリアの外構部分は、雨風に晒されると共に、外観上の美しさも必要なことからも、優れた耐久性が認められてのものです。
目立つところでは、プロ野球の西武ライオンズの本拠地であるペルーナドームの屋根もステンレス鋼です。
その他、内装や見えにくい部分でも、構造材、釘、ねじ、蝶番など至るところで使用されております。
また、その高い強度が認められ、産業用としても使用されております。
特に、工場設備や自動車など、過酷な環境下となる機械の稼働頻度の多い部分などには欠かせない存在です。
その他、身の回りであれば、腕時計、ベルトのバックル、バック、キーホルダーなどの金属小物やカミソリ、はさみ、爪切りなどの刃物類などにも使用されています。
配管も官公庁の施設、警察、消防署、病院、高級ホテル、軍事施設、エネルギープラント、食品工場、医薬品工場、半導体工場、浄水場、各研究所などの特殊な施設での採用率が非常に高くなっています。
また、一般配管としても普及が進んでおり、集合住宅、戸建住宅、オフィスビルなどの給水・給湯・空調配管などでも採用されるケースが増えています。
|サステナブル配管
現在、社会的な課題の一つとされているのが、持続可能な開発目標(SDGs)を目指した「サステナブル(sustainable)社会」の構築です。
直訳すると持続性のある社会づくりとなりますが、建築分野においても「サステナブル建築」として重要視され取り組まれております。
ステンレス鋼を使用したステンレス配管は、初期費用であるイニシャルコストを他の一般的な配管材と比較すると高価になりがちです。
しかしながら、初期の状態を維持、継続させる高い性能、つまり、サスティナブルな配管であることから、イニシャルコストを含めた建物の存続期間の総コストであるライフサイクルコストで考えた場合は、十分なコストメリットを得ることも可能です。
また、耐久性が優れていると言うことは、廃材頻度も低くなり環境問題にも適正です。
更に、仮に廃材となっても、ステンレス鋼は、リサイクル性にも優れているところもメリットとなります。
以上からもベンカンと致しましては、ステンレス配管が正に、サステブル配管であると捉え、それをブランド化した「SUSTAINABLE LIFELINE®」を掲げて「ステンレス配管のベンカン®」として、普及に努めております。
toshinori tanaka