専用工具使用上の注意点「冬季・寒冷地対策」
- 2017.02.10
- カテゴリ: 施工|Construction
|メカニカルジョイント
配管の接合方式には、様々なものがありますが、近年は、機械的な構造で接合するメカニカルジョイントが普及して来ております。
メカニカルジョイント(mechanical joint)とは、機械式接合の管継手のことです。
特徴は、ゴムシール材等の密着によって接合部の止水を行う構造や専用工具等を使用して接合することで、接合品質の均一性が可能なところです。
また、メカニカルジョイントの特徴としては、多くの場合、接合には、何らかの専用工具を必要とします。
ベンカンのメカニカルジョイントの場合は、ワンタッチ式の「EGジョイント」以外は、全て専用工具が必要となります。
専用工具は、大きく2つの方式に分類されます。
まず、プレス式継手であるモルコジョイント、ダブルプレス、冷媒ダブルプレス、CUプレス、JPジョイントに対応する「①専用締付工具」です。
また、拡管式継手であるBKジョイントⅡに対応するのが「②専用拡管工具」となります。
どちらも、エネルギーを伝達する媒体を油にした油圧工具で次のようなメリットがあります。
⑴効率よく高出力を得やすい
⑵出力や速度をコントロールしやすい
⑶小型化をしやすい
|油圧工具の冬季・寒冷地対策
油圧工具ならではの寒冷地や気温が低い時期で使用する場合の注意点があります。
油圧工具は、電気モーターを動力とし、油圧ポンプを駆動源として、油圧オイルで作動するため、油圧オイルの温度が工具の作動に密接に関わってきます。
そのために、寒冷地や冬季の気温が低い朝などには、油圧オイルの温度が低下することで、その粘度が上がり、油圧工具が正常に稼働しない場合がありますので、その対処方法をご紹介させていただきます。
■対処法:暖機法
最も効果的なのが工具本体を作業前に暖め、冷えないように管理する「暖機法」です。
これは、作業開始前には、現場内にあるジェットヒーターなどの暖房機の周りや暖かい場所に専用工具を置いて暖めていただくことです。
但し、暖房機等に近づけ過ぎると逆に専用工具の不具合や火傷などのつながりますので、あくまでも常温レベルを超えないようにお願い致します。
また、作業後には、翌日等の作業を考慮し、可能な限り専用工具本体を冷やさないように床などの直置きを避け、付属されている工具ケース等に収納して保管ください。
■対処法:空打法(専用締付工具)
より簡単な対処法が、「空打法」です。
「①専用締付工具」の場合の空打法は、メカニカルジョイントを直接プレスするダイスを上下に装着し、スイッチボタンを押し続けることで圧力が上昇し、既定値に達して音が変わるまで行います。
その後は、スイッチボタンを離し、戻しレバーを押しこむことで圧力を開放します。(右画像)
この動作を何度か繰り返すことで油圧オイルの温度が上がり、専用締付工具の動きが良くなります。
ここでの注意事項は、空打ちを行う際には、必ずダイスを装着する様にしてください。
ダイスを装着することによって、下に装着されているシリンダーに負荷が掛かり、シリンダーが伸びきるのを防ぎます。
もし、装着しなかった場合は、シリンダーが伸びきり、ダイスが装着できなくなる恐れがありますので十分にご注意下さい。
■対処法:空打法(専用拡管工具)
次に「②専用拡管工具」の「空打法」は、油圧ポンプを空打ちします。
まず、油圧ポンプとシリンダーが接続されている場合は、カプラ接続を解除して、油圧ポンプ側のカプラキャップを装着します。
その上で、油圧ポンプ本体にあるオイルキャップ(空気弁)を緩めてからスイッチボタンを押し、既定値に達して音が変わるまで空打ちします。
油圧ポンプのみで動作させることにより、余計な負荷が掛からず効率よく油圧オイルの温度を上げることができます。
以上、「暖機法」および「空打法」をご紹介させていただきました。
また、この他の寒冷地ならではの注意事項を補足させていただきます。
「②専用拡管工具」がパイプを拡管する際に使用する拡管ゴムは、気温が低いと硬くなることがあります。
拡管ゴムが硬くなることでゴムの戻ろうとする力(弾性力)が弱まりますので、作業開始時は、拡管後は通常より時間を置いてからパイプを抜く様に心掛けてください。
拡管ゴムが戻るまえに焦ってパイプを抜くことで、逆にパイプが抜けなくなる恐れがございます。
ベンカンでは、本件のような対処法や注意事項をご説明させていただくためにも、納入現場での施工講習会を必ず実施しておりますので、各営業所にご用命下さい。
Takashi Toumiya