立管改修工事「パイプインパイプ工法」
- 2021.02.08
- カテゴリ: 施工|Construction
|持続可能な住まいづくり
ヨーロッパでは、既存の建物を現代の入居者のニーズに合わせた大掛かりな改修工事(リノベーション)が進んでいます。
古くてもきちんと手入れをされた建築物は、新築よりも価値があるとされる国は多くあり、スクラップ&ビルド社会の日本とは対照的とも言えるでしょう。
2015年の国連サミットにて、SDGs(Sustainable Development Goals)が採択されました。
日本語では、持続可能な開発目標と訳され環境問題など、様々な観点からあらゆる場面で取り上げられております。
建築業界においても「サステナブル建築(一般社団法人 日本建設業連合会)」という言葉が生まれています。
建て替え需要の多い日本ではありますが、建物の長寿命化・延命化の考えの下、今後改修工事による持続可能な住まいづくりにも目が向けられるはずです。
また、ベンカンにおいても、2016年に企業理念を見直し、SUSTAINABLE LIFELINE®を商標登録して、サステナブル配管の普及に努めております。
|パイプインパイプ工法
ベンカンでは1981年、住宅公団(現在のUR都市機構)様のストック住宅の改修工事用にステンレス配管のパイオニア的存在である「モルコジョイント」を採用いただきました。
その後、各市町村の公営住宅などを中心にさまざまな集合住宅においてステンレス配管での配管改修をご提案させていただいております。
人が住んでおられる住宅の配管改修工事は速やかに工事を完了させなければなりません。
ステンレス配管での改修工事の場合、新しく新設する配管を露出配管にすることで施工が容易になり、工期短縮に有効です。
但し、既設立管の塩ビライニング鋼管が老朽化している場合は、スラブに埋め込まれている部分の配管を撤去する必要があり、ある程度の時間を要します。
そこで、検討をお勧めするのが「パイプ イン パイプ(PIP)工法」です。
「パイプ イン パイプ工法」とはその名の如く、既設の管をサヤ管替わりにし、その中を新設の一般配管用ステンレス鋼鋼管を通す工法です。
スラブ内に埋め込まれた既存管を引き抜く必要がないため、貫通部分を損傷する危険性も少なく、また路面復旧、既存管の撤去作業も不要となるため、布設替えに比べ工期の短縮も可能となります。
例えば、既設管が50Aであった場合、実内径が49.9㎜になりますので、その中にステンレス鋼鋼管の50Su(外径48.6㎜)を通すことができます。(上右図参照)
管の外径が小さくなることにより、流量の問題を懸念する方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら、一般配管用ステンレス鋼鋼管(JIS G 3448)の50Suの実内径は46.2mmですので、既設管の場合(49.9mm)と比較すると直径で僅か3.7mm小さくなるだけで問題になるくらいの違いではありません。
合わせてステンレス鋼鋼管は耐食性や耐キャビテーション性にも優れていますので、流速を早めに設定することも可能で「パイプインパイプ工法」の採用を可能にするのです。
尚、「ステンレス配管」の接合方式の中でも、集合住宅の配管改修工事にはプレス式工法の管継手が多く採用されています。
プレス式管継手の代表である「モルコジョイント」や「ダブルプレス」はスピード施工が可能で、工事を速やかに完了させなければならない工事に適しており、「パイプインパイプ工法」にも向いています。
集合住宅の給水管改修工事には、プレス式継手の「パイプインパイプ工法」をお試しください。
Yasuyuki Sato