シリコンスプレーの使用
- 2018.05.25
- カテゴリ: 施工|Construction
|配管シール材
配管は、流体を、目的箇所まで適切に配送するシステムである以上、その途中で流体が流出してはなりません。
特に管と管の継ぎ目の処理は非常に重要となります。
接合方式によって、様々な配管シール材が使用されております。
メカニカルジョイントの場合は、継手本体に内蔵されているのがほとんどの様です。
ベンカンでは、異なる3つの接合方式のメカニカルジョイントがラインナップされております。
プレス式継手=モルコジョイント、ダブルプレス、CUプレス、JPジョイント、CS変換ソケット
ワンタッチ式継手=EGジョイント
それぞれ、接合方式の特性などを考慮して、3種類のゴムシール材を採用しております。
また、同様に施工要領も異なってきます。
但し、共通する注意事項が、接合する際にゴムシール材に傷を付けたり、切断してしまってはならないというところです。
翻して、ゴムシール材は、傷を付けたり、切断してしまった場合、配管としての役目を果たせなくなってしまう位に重要なパーツとなります。
|シリコーンスプレー
ベンカンでは、TQM(総合品質マネジメント)を品質保証の目標としております。
具体的には、従来の「品質管理」ばかりではなく、企画・開発・設計段階などの「源流管理」、顧客の手に渡ってからの「アフター管理」まで総合的に品質をマネジメントする考え方です。
配管部材製品の特徴としては、製品が顧客の手に渡ってから、施工が伴うことです。
ここで施工要領を誤ると、製品の性能を発揮させることが出来ない可能性があります。
特に配管シール材の性能は、配管そのものの性能に影響しますので、十分に取り扱いにご注意いただいております。
特に、今回は、EGジョイントの接合に際のシリコンスプレーの使用に関してお願いさせていただきます。
EGジョイントは、専用工具を必要とせずに、切断した適応パイプを適正位置まで差し込むだけで接合を完了するワンタッチ式のメカニカルジョイントです。
締付工具でプレスしたり、袋ナットで締め付けるようなメカニカルジョイントと異なり、ゴムシール材だけで、流体をシールします。
そのため、より、ゴムシール材の重要性が増すことから、パイプに必ず「シリコンスプレー」を塗布してから、継手に差し込むことを施工手順として定めています。
パイプにシリコンスプレーを塗布していただく理由は、次の2点があります。
①パイプ差し込み時にゴムリングを傷付けないため
②パイプを差し込みし易くするため
EGジョイントの性能を適正に発揮させるために、アフター管理として、必ず「シリコンスプレー(推奨製品:なめらかスプレー 日本ヴィクトリック株式会社 製)」を使用した施工をお願いしています。
また、EGジョイントに限らず、プレス式継手においても、差し込みがキツいと感じられる際には、同様のシリコーンスプレーを塗布することで差し込みがスムーズになるのでお勧めです。
|市販シリコンスプレーの使用禁止
シリコンスプレーは、ホームセンターなどで手軽に入手できますが、それぞれ用途に合わせて様々な製品が製造されています。
例えば、市販シリコンスプレーに表示されている用途は、次の様なものがあります。
①潤滑用 ②艶出し用 ③防水・撥水用 ④保護用 ⑤離型用
また、シリコン以外にも様々な添加剤が記載されています。
①フッ素系ウレタン樹脂 ②アクリル樹脂 ③アセトン ④エチルアルコール ⑤イソプロピルアルコール
しかし、EGジョイントなどのメカニカルジョイントのゴムリングに、この様な石油系溶剤が付着すると、膨潤し軟化してしまい、シール性を失うことで漏水事故に至ってしまう場合があります。
そして何よりも、給水、給湯など飲料水が流れる配管に使用されることから、石油系溶剤が含まれる市販製品を誤って使用されることで、住居者の安全が脅かされたり、思わぬ2次被害をもたらす可能性があります。
本件からも、ベンカンでは、EGジョイントなどのメカニカルジョイントの施工の際に使用するシリコンスプレーは、安全性が確認された「なめらかスプレー」を使用を推奨させていただいております。
尚、今回も含め、シリコンとしていますが、厳密にはシリコーンとなります。
シリコーンは、シリコン(ケイ素:Si)をベースに医療品、化粧品、調理器具、電子部品、文房具、繊維、ゴム製品、建材など多種多様な日常用途に対応できるようにした合成樹脂です。
Takaaki Kinoshita