コミュニケーション「声を出す。声を聴く。」
- 2018.01.06
|組織
組織とは、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである。」と定義したのは、アメリカの経済学者であるチェスターバーナードです。
人は、社会やコミュニティ、または個人の特定ニーズを満たす上で、一人で成し遂げることができることには限界があるために、何らかの組織を形成します。
そして、それぞれの組織は、それぞれ特有の目的を果たすために、社会の中で様々な活動を繰り広げます。
そのために組織において、まず、必要なのが、属する人たちが共有する目的です。
そして、組織の目的を果たすために、属する人たちが貢献する意欲を持っていることが重要となります。
しかしながら、組織に属する人たちが、目的を共有し、それを果たすために貢献しようとしても、それを果たすためのアプローチ方法などの考え方は、それぞれです。
逆に違うからこそ、様々な方向や切り口などのアイデアが湧き出るのであって、組織としての価値が高まります。
そのために、組織において重要なのが、コミュニケーションです。
|コミュニケーション
コミュニケーションとは、社会学的には、組織の中で、属する人たちの間で行われる知覚、感情、思考の伝達のことをいいます。
また、心理学的には、自分自身との対話もコミュニケーションともいえるようです。
つまり、人から人に知覚、感情、思考などの情報が正確に伝わることが優れたコミュニケーションと解釈されます。
組織では、優れた意見が必ず認められるとは限りません。
組織の中で自分の意見を認めてもらうには、良好なコミュニケーションが必要であり、それには、信頼関係(ラポール)を築くことが前提だからです。
そのために日頃から組織内での公務による立ち振る舞いや言動が信頼関係を左右します。
例えば、自分に要件のある時だけ接触するのではなく、普段から接触回数を増やすことで信頼関係が向上するといわれているのが「単純接触効果」です。
また、インサイド・アウトあるいは、自己開示効果と言って、懇親会やサークル活動など、私的な交流そのものはコミュニケーションではありませんが、前提となる信頼関係を築くためには絶好の機会となる訳です。
対して、コミュニケーションを阻害する要因には、「省略」、「歪曲」、「一般化」があるとされます。
人は、実際の体験を五感と呼ばれる視覚、聴覚、触覚・味覚・嗅覚から脳へ情報送り込みます。
この際に、全て体験を完全なる情報として網羅した情報を「深層構造」とします。
しかし、人は無意識に発信する情報にフィルターを掛けたり、受信する情報に掛けて、「表層構造」の情報にしてしまいます。
結果、ミスコミュニケーションを誘発させてしまいます。
更に、これがエスカレートするとミスコミュニケーションのモンスター化とも言える「 ラジカルフィードバック」に陥ってしまう危険性もあります。
ミスコミュニケーションを引き起こすことなく、コミュニケーションを向上させることが、組織において目的や目標を果たすために欠かせない最低条件である最大の課題なのだと思います。
|声を出す。声を聴く。
そのためにベンカンで掲げているキーワードが、「声を出す。声を聴く。」です。
そこで求めているのが、まずは、「ボトムアップ」です。
能動的に現場から声が出るようにエンパワーメントを推進しています。
エンパワーメントとは、権限委譲ともいわれる通り、組織の目標を達成するための意思決定権を現場に委ねることです。
加えて、単に委ねるだけではなく、配下部署や個人の自律性を重要視しなければなりません。
そのために組織の目標を組織全方位に明確に示して共有させ、配下部署や個人が主体性を持って能動的に徹底して意見を出し合い行動できる組織の自律性の育成と支援を推進します。
また、それでも、だれもが能動的に声を出せるかといえば、なかなか声が出るものではありません。
そこで、もう一つが「トップダウン」です。
「トップダウン」というと、強要するように受け取られがちです。
しかし、声を出す意識はあるものの、あと一歩踏み出せない人に対しては、促しを与えることも必要だと思っています。
そのためにも経営やマネジメント職は当然ながら、組織内で互いの意見に傾聴することも大切になってきます。
この「ボトムアップ」を優先させながら要所要所で「トップダウン」を行うことで、組織内に「声を出す。声を聴く。」環境を定着させたいと考えています。
そして、ここから、組織の目的や目標を果たすことを目指して行きたいと思います。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長