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コラム

カイゼン活動「マーキング作業」

  • 2017.10.25

|価値あるカイゼン活動

 

コストセンター(cost center)である製造部門にとって、「カイゼン(改善)」と言えば、その目的はコストダウンでしかありません。

確かにコストダウンで間違ってはいませんが、ベンカンの製造部門で推進する「TOC(制約理論)」では、プロフィット(利益)を、それを含めたバリュー(価値)と解釈して、スループット(創造)するプロフィット・センター(profit center)になることを目指しております。

 

マネジメント「生産性」

 

|マーキング作業のカイゼン

 

今回、製造班の「マーキング作業」に着目し作業時間削減の取り組みを開始しました。

「マーキング作業」とは、生産行程を経た製品が各品質検査を合格した後に、その証しとしての「BENKAN」ブランドなどの商標や規格標、アイテム、口径などをパットプリントする行程です。

 

現状、パットプリンター機が6台に対して、6人のオペレーターがおります。

それぞれの作業時間を集計すると、実質の「マーキング作業」に要する [時間/個] に大きな差は見られませんでした。

ところが作業前の「段取り時間」と作業後の「清掃時間」には大きな個人差がある事が分かったのです。

原因は、「マーキング作業」に存在する作業標準(手順書)が、「段取り作業」と「清掃作業」にはなく、各自が思い思いの作業を行っていたためでないかと仮説立てることができました。

 

 

|垂直思考と水平思考

 

実際に作業の洗い出してみると、それが本当に必要なのか、毎日実施しなければならないことなのか、毎日実施している機械と、そうでない機械にどんな差があるのか多くの疑問点が出てきました。

 

【移設】マネジメント「ロジック構築」

 

各作業者とのヒアリングの中で、それらの疑問点を1つ1つ確認して行くと、「今まで実施していたから」という回答が大半を占めていました。

まさに、現状維持バイアスによる作業を惰性で行っていたという事です。

 

そこで、本当に実施しなければならないことに絞り作業標準(手順書)を作成し、オペレータに実施してもらう事にしました。

初めは作業をやらない事、あるいは今まで行っていないことをやる事について抵抗感があったオペレーターたちも、目的を理解させて実施することを繰り返すことで、次第に様々な課題も出てくるようになりました。

 

「一人では出来ないと思っていたことが、仲間と意見を出し合い行動することで掃除時間の短縮できました。これからも継続します。」ミウラ

 

「10分以内に掃除が出来るようになりました。今後は、目標を設定して1分でも時間短縮できるようになりたいです。」又吉

 

「掃除時間の短縮を意識した段取りを実施したことで成果がありました。目標は簡単じゃありませんが、カイゼンを繰り返して行きます。」マルシア

 

「長年続けてきた手順を変えるには抵抗感があったが、変えたことでカイゼン意識が高まり結果的に段取り時間が早くなった。次は清掃時間の短縮が課題です。」安齊

 

「段取り時間が早くなりました。マーキング作業も含め、まだまだ作業性を上げたい。」本西

 

アダさん
「段取り時間が早くなりました。主業務であるマーキング作業の効率をもう少し上げたい。」アダ

 

今回のカイゼン活動を推進する上では、二人のリーダーを任命しました。

「以前は個々に掃除時間がバラバラでしたが、マ-キング掃除のやり方の手順書を作成し手順書通りに行うことで、掃除時間が皆平均になりました。掃除に関しても、毎日やらなくても問題ないことなど、意見を出し、実際作業者にやって頂き、作業者からの提案などで一回30分掛かっていた掃除時間が平均5分になったことは、良かったと思います。
リーダーとして、カイゼンを推進する上では、各オペーレーターとの意思疎通が難しかったです。
今後、継続して取り組んでいただける様に声かけや意見を聴いてさらに段取り・掃除時間の短縮につながる改善を考えたいです。」新島

 

「今回のカイゼン活動により、オペレーターの皆さんから、多くのアイディアや意見を引き出すことが出来、改善のの幅が広がったと実感しています。

オペレーターの中には、外国籍の方々もおりますので、日本語だけだと相互理解、精神的な面での折り合いの付け方などが難しい場面もありました。
今後は、清掃作業の時間を短縮するために、そもそも汚れ難い段取りができないものかを研究したいと思います。」柳生

 

このコメントを受けて、この二人にリーダーを任せて良かったと心から思います。

 

結果的に、今回、オペレーターの皆さんのカイゼン案を盛り込んだ、作業標準(手順書)を制作しました。

そして、それに則って作業することで、年間約652時間(192万円)の削減が可能であることが分かりました。

 

今後の目標は、更なる効率化をし、年間840時間(年間250万)削減につなげることです。

今後も、常に現状で満足するのではなく、カイゼンを繰り返して、価値を生み出し続けることができる職場づくりに努めて参ります。

 

 

金子

 

  金子 美智子(Michiko Kaneko) 製造部 品質管理課 課長

 

 


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