心理特性を活かした開発
- 2017.04.09
子供がバランスバイク(足こぎ自転車)に乗って遊んでいた時に、あることに気づきました。
何も教えていないのに、左回りで駐車場内をグルグル回りながら遊んでいたのです。
よく言われる「左回りの法則」です。
人間には、心理特性として、無意識に左回りする習性があるのだそうです。
それを具現化する様に陸上、スケート、競輪、競艇、野球などの回り方などは左回りとなっています。
しかし、その科学的に論理解明されているものではなく、「心臓が人間の中心より左にあり、左回りだと遠心力の負担が少なくなる」、「左足を軸にして、利き足である右足を蹴り込む事で早く走れる」など諸説あるようです。
とは言え、実際に、その特性を活かした仕掛けもあるそうです。
「警察で、犯人の逃走経路に左折が多い事から、左側に多く警官を配置させ検挙率がアップした。」、「スーパーやコンビニの動線では、左側に視線を向けやすい、重量のある商品が外周に陳列されているため、右手で取ってカゴに入れる事から左回りにしている店舗が多い。」
また、その特性を逆手にとって、「お化け屋敷内は、違和感を出すために右回りにしている場合が多い。」のだと言われております。
社内のマーケティング勉強会で、「顧客の顕在的なニーズ(必要性)を掴んで、潜在的なウォンツ(欲求)に応えることにより、より価値の高い提案ができる」と学んだことがあります。
心理特性とは潜在的な行動を促しますので、これをマーケティングに活かすことは重要なのではないかと考えました。
例えば、配管を施工する上で、意図的に不適合な施工をしようとする作業者の方はいないはずです。
逆に施工要領を意識して、それに則った作業を行うはずです。
ところが、施工の不適合はなくなりません。
これは、やはり無意識に自身の施工品質を過信してしまい、手順を省いたりなど、施工要領とは異なった作業を行ってしまうからなのだと思われます。
対策として施工管理の観点から見たら、施工要領に則った施工を実施していただけるように指導、監督、チェックが必要となります。
加えて、製品開発の段階で、不適合な施工を予期した機能を装備する設計をすることも一つの方法論です。
これは、観点は異なりますが、ユニバーサルデザインに類似した考えにもなろうかと思います。
製品に施工のセーフティー機能を装備させた実例としては、ベンカンの製品であれば、「ダブルプレス」となります。
製品性能的には、「モルコジョイント」で何の問題もありません。
しかし、大型現場などの様に多くの作業者の方々が従事する場合、施工管理は容易ではありません。
そこで、「モルコジョイント」に、施工が不適合だった場合でも、適正な水圧試験を実施することで発見できるセーフティー機能を装備させたのが「ダブルプレス」です。
正に、開発段階から人間の心理特性を加味した一例なのではないかと思います。
今後も、技術課として、お客様の顕在的なニーズ(必要性)と潜在的なウォンツ(欲求)に応えることができるような製品開発に取り組んで行きます。
大川 智之 (Satoshi Ookawa) 技術部 開発技術課 課長代理