専用締付工具の遍歴
- 2023.09.06
|プレス式継手
配管の接合方式には、様々なものがありますが、近年は、機械的な構造で接合するメカニカルジョイントが普及して来ております。
ベンカンの独自性の高いメカニカルジョイントといえばプレス式継手です。
スウェーデンおよびドイツで開発され、ヨーロッパを中心に世界数十カ国に普及したグローバルシステムです。
ベンカンが技術導入して1975年から販売を開始したのが「モルコジョイント」です。
この「モルコジョイント」ですが、発売当初から、そのスピード施工、均一施工には高い評価をいただいておりました。
そのプレス式継手の構造は、シンプルそのものですので、50年近くもの間、大きな変化はありません。
シール材であるゴムリングが装着された継手本体に、対応パイプをラインマーク(差し込み代)まで差し込み、専用締付工具でプレスして完了です。
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|専用締付工具の主な遍歴
50年近くもの間、大きな変化がなかったと先述しておりますが、専用締付工具は大きく進化して来ております。
実は、工法の評価は高かったものの不評だったのが、専用締付工具だったからです。
発売当初は、大型ポンプからホースが伸びて、その先に継手をプレスするシリンダーヘッドの着いた大きなものでした。
以来、ベンカンとして、専用締付工具のコンパクト化、軽量化が課題となりました。
■現行販売機種
左:BPD-08型、右:BPD-15R型
2017年に従来機と比較して大幅にコンパクト化、軽量化を実現した専用締付工具「BPN-16R」が発売され、その後継機種となる専用締付工具 BPN-20R が新たな機能を追加し、2023年8月より販売開始となりました。
■BPN-20Rの主な特長
(1) 軽量・コンパクト
クリンプジョーとバッテリーを装着した状態で重量3.3kgです。(従来機BPD-15Rの重量は5.4kg)
(2) イルミネーションライト装備
暗くてもプレス箇所を照らしてくれますので、確実な施工をサポートしてくれます。
(3)回転ヘッド
プレス部であるクリンプジョー部分が配管の方向に応じて回転しますので施工性が高まります。
(4)簡単なプレス作業
クリンプジョーは片手で開いて、離すだけで、継手部を挟み込みセッティング完了です。
後は、スイッチを押せば、自動でプレス、自動で戻ります。
(5)アプリ管理
スマホに専用アプリをダウンロードしていただくと、Bluetoothで工具本体と連携して、プレス箇所の状況を管理することが可能です。
モルコジョイントの歴史は専用締付工具の歴史とも言えます。
これからも機能性に優れた締付工具の開発に努めてまいります。
吉田 哲夫(Tetsuo Yoshida) 技術部 部長