安全衛生「危険感受性教育」
- 2021.07.01
|安全衛生
高度経済成長期の日本は、多くの大規模工事や生産技術の革新による労働環境の変化も相まって、多くの労働災害を発生させるに至りました。
昭和44年(1969年)、当時の労働省の方々が中心となり、専門家を交えて法令の整備に取り組みました。
結果、昭和47年(1972年)に成立したのが労働安全衛生法です。
労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた法律です。
その目的は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成することにあります。
また、その手段として、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置など総合的、計画的な安全衛生対策の推進が義務付けられています。
ベンカンでは、労働安全衛生法に基づき、様々な施策を講じて「労働災害」の防止に取り組んでおります。
|労働災害
労働安全衛生法の第2条の1に「労働災害」が定義されています。
「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」
また、広義的には、就業中のみならず、通勤中の災害も含まれる場合もあり、一般的には労災と略して使われます。
そして、実際に「労働災害」の防止に取り組むためには、事業主と労働者が協力して、労働者の危険または健康障害を 防止するための基本となるべき対策(労働災害の原因及び再発防止対策等) などの重要事項について十分な調査、審議、改善などを行う必要があります。
「労働安全衛生法」では、一定基準の規模以上の事業場には、そのための機関として安全委員会や衛生委員会を設置して活動することを義務付けています。
安全委員会又は衛生委員会を設置しなければならない事業場
・安全委員会
① 常時使用する労働者が50人以上の事業場で、次の業種に該当するもの 林業、鉱業、建設業、製造業の一部の業種(木材・木製品製造業、化学工業、鉄鋼業、 金属製品製造業、輸送用機械器具製造業)、運送業の一部の業種(道路貨物運送業、 港湾運送業)、自動車整備業、機械修理業、清掃業
② 常時使用する労働者が100人以上の事業場で、次の業種に該当するもの 製造業のうち①以外の業種、運送業のうち①以外の業種、電気業、ガス業、熱供給業、 水道業、通信業、各種商品卸売業・小売業、家具・建具・じゅう器等卸売業・小売業、 燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業
・衛生委員会
常時使用する労働者が50人以上の事業場(全業種)
※ 安全委員会及び衛生委員会の両方を設けなければならないときは、それぞれの委員会の設置に代えて、安全衛生委員会を設置することができます。
厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署 発行リーフレット 抜粋
|感受性教育
会社として、労働安全衛生法に基づき、様々な施策を講じて「労働災害」の防止に取り組みます。
しかしながら、防止する上での水際は、作業者個人の判断に委ねられます。
ベンカンでは、国内のMJ工場ならびに海外製造拠点であるベンカン・ベトナムそれぞれで、定期的に「労働災害」の模擬体験による「危険感受性教育」を実施しております。
「危険感受性教育」とは、作業者自身に、何が危険か、どうなると危険な状態になるのかを直観的に把握させ、災害の程度・発生確率を敏感に感じ取る能力を高めることで災害を防止する取り組みです。
災害が発生した直後であったり、口頭注意を受けた直後は意識できても、上辺だけの取り組みは時間の経過により労働安全意識が希薄になって行きます。
そこで、労働災害を模擬的に発生させて、心の深層部分に「災害の恐ろしさを体験」させ、その危険感受性を高めます。
■ボール盤による巻き込まれ体験
巻き込まれた模型の軍手を外して、実際にはめてみると、その凄まじさを実感できます。
■クレーン吊下げ(玉掛け)時の挟まれ体験
指に見立てた竹材を吊り荷とワイヤーの間に挟んで吊り上げると、竹材は、細かく割れて潰れてしまいました。
■プレス・ベンダーによる挟まれ体験
軍手の中に粘土を詰めた手の模型を意図的に挟むと、取り出した模型は薄く扁平してしまいました。
その他、これまでに、「切粉による裂傷」、「エアシリンダーによる挟まれ」、「コンベアーによる巻込まれ」、「搬出機による挟まれ」、「クレーン吊下げ時の挟まれ」、「フォークリフトの事故」など多岐に渡って実施されております。
実施の度に手の模型などが大きな音と共に潰れたり、切れる瞬間には周りで見守る、従業員からも驚く声が漏れます。
そして、毎回、「危険感受性教育」の最後には、安全の尊さと災害の恐ろしさを総評と言う形で再度、訴え掛けて締めております。
「ステンレス配管のベンカン」によって、モノづくりが原点となります。
モノづくりは、従業員の安全があって成り立ちます。
そのためにも、常に安全に対する意識を途切れることなく、更なる高揚に努めて参ります。
篠田 直明 (Naoaki Sasata) 執行役員