コミュニケーション「遮眼革(しゃがんかく)」
- 2012.12.11
|コミュニケーション
コミュニケーションとは、社会学的には、社会組織の中で、それを形成する人間の間で行われる知覚、感情、思考の伝達と言えます。
また、心理学的には、自分自身との対話もコミュニケーションとも言えるようです。
つまり、優れたコミュニケーションとは、人間から人間に知覚、感情、思考などの情報が正確に伝わることと解釈されます。
組織では、優れた意見が必ず認められるとは限りません。
組織の中で自分の意見を認めてもらうには、良好なコミュニケーションが必要です。
それには、信頼関係(ラポール)を築くことが前提です。
されに信頼関係も築かれていないにも関わらず、自分の意見を強引に落ち着けたら、コミュニケーションどころか、組織の「共依存関係」が崩壊してしまいます。
|遮眼革
ビジネス書に限らず、人生哲学書とも位置付けられる「7つの習慣」において、人間の成長には、「インサイド・アウト」の原則が大切であるとされています。
逆に成長を妨げるのは、「自分は正しい・相手や組織、環境などが悪い」という「アウトサイド・イン」のパラダイム(モノの見方)です。
つまり、「インサイド・アウト」とは、「相手や組織、環境を変えるのであれば、まず、自分自身を変える」というパラダイムであると言えます。
遮眼革(しゃがんかく)という競馬の馬具があります。
馬が前方に走ることだけに集中できる様に、眼の側面を衝立で覆って、余計なものが視界に入らないようにするのです。
ところが、人間の世界にも、遮眼革があります。
その遮眼革は、目に見えません。
そう、私も知らず知らずに着けてしまっているときがあります。
人は、遮眼帯を着けてしまうと、自分の都合の良いことしか見えなくなってしまいます。
自分の価値観だけで物事を判断して、周囲に押し付けてしまいます。
つまり、「アウトサイド・イン」の状態です。
しかし、世の中には、自分では不条理だと思う様な結果が嫌というほど溢れています。
その結果が正しいとは言い切れませんが、それが結果であることは紛れもありません。
結果に対して、自分だけの価値観を突き合わせて、そのギャップだけを、一人で愚痴っていても埒があきません。
実は、遮眼革を着けると、周囲が見えない以上に、自分自身が見えなくなってしまうのかもしれません。
|組織とは
人は、社会やコミュニティ、または個人の特定ニーズを満たす上で、一人で成し遂げることができることには限界があるために、何らかの組織を形成します。
そして、それぞれの組織は、それぞれ特有の目的を果たすために、社会の中で様々な活動を繰り広げます。
機能する組織とは、属する人たちが目的を共有して、その目的を達成する意欲を持っていることが大切です。
そして、そのために必要なのが、互いを理解、尊重し合った上で、意見し合える環境なのかと思います。
大切なのは、自分の考えと周囲の考えのギャップを踏まえて、何をすべきかなのだと思います。
まずは、視野を広げる意味で一歩引いて、遮眼帯を外してみる。
つまり、自己観照してみるのです。
しかし、決して全体に呑み込まれる必要はありません。
逆に呑み込まれてはならないと思います。
全体最適の中で、自分の価値観を如何にして活かすべきかを悟るべきです。
きっと、遮眼帯を着けたままでは見えなかった、駆け回りたくなるような新しい世界が見えてくるはずです。
小杉 優也(Yuuya Kosugi) 管理部