元社員は企業の財産 ― 人材戦略として注目される「アルムナイ制度」とは?
- 2025.04.17
|経営資源としての「ヒト」の重要性
企業がその目的を達成していくうえで、経営資源の存在は不可欠です。
「ヒト・モノ・カネ・情報・知識」などとよく言われますが、
なかでも近年ますます重要視されているのが“ヒト”、つまり人材です。
これまでの人事は、制度設計やオペレーション中心の管理型が主流でしたが、近年は時代の変化に合わせて、人材の可能性を引き出す“戦略的な人的資源管理(HRM)”が注目されるようになってきました。
|戦略人事におけるキーワード「アルムナイ」
私たちも今、HRMの視点から「人材の評価」「育成」「採用」のあり方を再考しています。
その中でキーワードとして挙がるのが「アルムナイ(Alumni)」という言葉です。
もともとは「卒業生」や「同窓生」を意味する言葉ですが、人事領域では「元社員」のことを指すようになっています。
欧米では「ジョブ型雇用」が一般的で、終身雇用が前提ではないため、退職後も元社員と企業がつながりを持ち、再雇用や協業につなげる「アルムナイ制度」が広く普及しています。
たとえば、あるお菓子メーカーでは「ハッピーリターン制度」と名付け、前向きに捉える姿勢が話題になっています。
|日本でも変わり始めた退職の捉え方
一方、国内でも終身雇用の崩壊とともに、転職や退職の在り方が変わりつつあります。
SNSで「卒業します」と退職を報告する投稿を見かけることも珍しくなくなりました。
退職理由はさまざまですが、企業と本人の関係が円満であれば、将来的に再び力を貸してもらう可能性は十分にあります。
転職後に前職の良さを実感することもありますし、かつての自己都合が解消されることもあるでしょう。
|アルムナイ制度がもたらす新たな人材戦略
企業にとっても、人手不足や育成コストの課題がある中で、経験者を再び迎えることは即戦力確保という面で非常に有効です。
今後、グローバル人材やシニア人材の活用とあわせて、「アルムナイ制度」は企業の人材戦略の一つとして、ますます注目されていくのではないでしょうか。