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コラム

HRM「人事管理から人的資源管理へシフト」

  • 2024.10.17

|人事管理から人的資源管理へシフト

 

企業が成長し続けるためには、ヒト、モノ、カネ、知識などの経営資源を効果的に活用するマネジメントが不可欠です。
その中でも、特に重視されるのが「ヒト=人材」です。
しかし現在、多くの企業が人的資源の不足という課題に直面しています。
少子高齢化や労働環境の変化により、新しいスキルに対応できる労働力の確保が難しくなっているためです。

 

この背景において、近年の人事における重要なキーワードとして「HR(Human Resources)」が定着しています。
これは単なる「人材」ではなく、企業の成長を支える「人的資源」を意味することとなります。

 

そこで注目されるのが「HRM(Human Resource Management)」です。
HRMは、採用、教育、評価、配置など、すべての人事機能を統括し、経営目標達成を目指す戦略的な人材マネジメントの仕組みです。
従来の人事管理「PM(Personal Management)」が、企業が利益を上げるにあたって、人材をコストとして捉え、労働力として人事制度や労働環境を整え、それに基づき人材を管理統制する考え方であったのに対し、HRMは人材あるいは人件費を戦略的に活かして、企業の利益を上げる考え方です。

 

特に近年は、メンバーシップ型雇用から「ジョブ型雇用」への移行が進んでいます。従来のメンバーシップ型は、企業内でのキャリア形成を前提として新卒者を採用し、適材適所に配置するものでしたが、ジョブ型は、事前に職務(ジョブ)と必要とされるキャリアを明確にすることで、それに適した人材を配置する適材適所的な考え方です。

 

 

|「ジョブ型雇用」と「ジョブ型人事指針」

 

「ジョブ型雇用」は、あらかじめ職務内容と必要なスキルを明確にし、その職務に最適な人材を採用・配置する制度です。
この雇用形態は、個々の労働者が自らキャリアを選択し、リスキリング(再学習)によって新しいスキルを身に付けながら自分の希望する職種に就くことを目指しています。

 

ここで、日本政府が示した「ジョブ型人事指針」が重要な役割を果たします。
この指針は、企業がジョブ型雇用を採用する際の基本的な考え方や方針を提示しており、労働者と企業双方にとってのメリットを最大限に引き出すための道標となっています。
具体的には、以下のような点が挙げられます。

 

①透明な評価制度の構築

→職務内容と成果に基づいた公正な評価を行い、年功序列ではなく能力と貢献度に応じた報酬や昇進を実現します。
②リスキリングの促進

→企業は、従業員が新しいスキルを習得し、自分のキャリアを積極的に開発できるよう、学習の機会を提供します。
③多様な働き方の推進

→労働市場の流動性を高め、内部と外部の労働市場をシームレスに結びつけ、労働移動を活性化させます。

 

この「ジョブ型人事指針」の導入により、企業は限られた人材を最大限に活用し、効率的かつ持続可能な成長を目指すことができます。

 

|日本企業の課題とHRMの未来

 

一方で、ジョブ型雇用の導入には課題もあります。例えば、労働者のリスキリングが十分に進んでいない現状や、特定の職種に希望が集中することで、労働力のミスマッチが生じている点です。
企業は、これらの課題に対処するために、教育機会の整備や公正な評価制度の構築が必要です。

 

HRMの目的は、単なる制度の整備にとどまらず、企業と人材、そして人材同士の相乗効果を引き出し、持続的な成長を支えることです。
日本企業は、従来の良い部分を残しつつ、時代の変化に適応した柔軟な人事制度を構築していくことが求められています。

このように「ジョブ型人事指針」を活用し、企業の未来を切り拓いていくことが、今後の重要なテーマとなるのではないかと考えます。

 

 

 

 

谷藤 真吾(Shingo Tanifuji)    管理部 部長代理

 

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