金属加工法「塑性加工の魅力」
- 2023.09.28
|塑性加工(プレス加工)
金属加工法には、大きく分けて、「非除去加工」と「除去加工」があるとされております。
「非除去加工」とは、金属に力を加えて変形させたり、溶かして鋳型に流し込んだりすることで、目的の形に加工する方法です。
非除去加工には、塑性加工や鋳造加工などがあります。
非除去加工のメリットは、材料のロスが少なく、歩留まりが高いことです。
デメリットは、精度が低いことや、複雑な形状の加工が難しいことです。
対して「除去加工」とは、金属の不要な部分を切削や研削などの方法で除去して、目的の形に加工する方法です。
除去加工には、切削加工や研削加工などがあります。
除去加工のメリットは、精度が高いことや、複雑な形状の加工ができることです。
デメリットは、材料のロスが多く、歩留まりが低いことです。
ベンカンのステンレス配管は、それらのどの加工法かに限定することなく、製品や工程によって様々な加工法を用いて製造しており、特に実績があるのが「塑性加工(プレス加工)」です。
「塑性加工」と「プレス加工」ですが、大枠では同意語ですが、厳密には専門的に違いがあることもご理解ください。
また、社外の皆さまに対しましては、イメージし易いように「プレス加工」としてお伝えするようにしております。
|塑性加工(プレス加工)技術の魅力
私たちの身の回りにある多くの製品は、様々な塑性加工技術を用いて生まれています。塑性加工は、物質の塑性を利用して、材料に力を加えて変形させることで、目的の形状に加工することができます。この技術の魅力は、その幅広い応用範囲と、素材の変形を通じて生み出される革新的な成果にあります。
1. 塑性加工の基本
塑性加工は、素材を圧力や熱を加えて変形させることで、望ましい形状を作り出す技術です。
主な塑性加工技術には、圧延、鍛造、押出、プレス、などがあります。
これらの技術は、異なる素材と製品の要件に応じて選択され、幅広い産業分野で使用されています。
2. 産業への貢献
塑性加工は、自動車産業、航空宇宙産業、建設業、家電製造業など、さまざまな分野で日用品から特殊な製品まで、幅広く使われています。
例えば、自動車のフレームやエンジン部品は、鍛造や押出技術を用いて製造されています。
また、ベンカンのステンレス配管においてはプレス加工技術を用いて高い寸法精度と複雑な形状設計が実現されています。
3. 持続可能性
塑性加工技術は、新しい素材の開発や工程の最適化を通じて、持続可能な製造プロセスの実現にも寄与しています。例えば、再生可能素材やリサイクル可能な材料の利用が増えており、環境への影響を軽減する方向に進んでいます。
4. デザインの自由度
塑性加工は、デザインの自由度を高めるための重要な技術です。
複雑な形状や繊細なディテールを持つ製品を生み出す際に、素材の柔軟性を活かした設計が可能です。
これにより、美しさと機能性を両立させることができます。
塑性加工は、私たちの生活に深く根ざした技術であり、社会に多大な貢献をしています。
その魅力は、幅広い応用範囲と革新的な成果、さらにはデザインの可能性にあります。
これからの技術進化によって、塑性加工はますます持続可能で効率的な製品を提供できるようになると感じています。
ベンカンでも様々な塑性加工技術を用いてお客様のどのようなニーズにも対応できるように努力し続けています。
|塑性加工技術の未来
塑性加工技術は前項でもお伝えさせていただいた通り、社会において重要な役割を果たしており、その未来には様々な進化と革新が期待できます。
例えば、デジタル技術の進歩により、塑性加工プロセスのモニタリング、制御が向上します。
AIや機械学習を活用して、プロセスの効率化や品質管理が強化されることになります。
自動化により、人の介入を最小限に抑えつつ、高品質で一貫性のある製品を生産することが可能になります。
また、新素材の採用により、適用する塑性加工技術の進化も期待でき、耐高温、耐摩耗、耐腐食などの特性を持つ素材が、より効果的に加工できるようになります。
更には環境への影響を最小限に抑えるため、エネルギー効率の向上や廃棄物の削減など、持続可能な塑性加工技術の開発が進み、リサイクル可能な材料の採用や再生材料の活用も増えていきます。
総じて、塑性加工技術の未来にはデジタル化、新素材の採用、環境への配慮、新たな製造手法の統合などが含まれ、社会において持続的な進化が期待されています。
ベンカンでも塑性加工技術とロボット技術を融合させることは生産性や品質向上をさらに高めるための重要なアプローチと捉えております。
この融合によって、より精度の高い製品を迅速かつ一貫して生産し、同時に労働力不足を補い、より高度な作業に集中することが可能となります。
今後もお客様の皆様にご支持いただけるステンレス配管の開発と供給のためにも、未来を見据えながらベンカンの塑性加工技術追求に、より一層努めて参ります。
蒋池 政弥(Masaya Kokoike) 製造部 製造技術課 課長