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コラム

安全衛生「KY活動」

  • 2022.09.21

|安全衛生

 

安全衛生旗

高度経済成長期の日本は、多くの大規模工事や生産技術の革新による労働環境の変化も相まって、多くの労働災害を発生させるに至りました。

 

昭和44年(1969年)、当時の労働省の方々が中心となり、専門家を交えて法令の整備に取り組みました。

結果、昭和47年(1972年)に成立したのが労働安全衛生法です。

 

労働安全衛生法とは、労働者の安全と衛生についての基準を定めた法律です。

その目的は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境を形成することにあります。

 

また、その手段として、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の促進の措置など総合的、計画的な安全衛生対策の推進が義務付けられています。

 

安全衛生「安全活動」

 

 

|ヒューマンエラー

 

製造業にとって、「安全第一」ともいわれる通り、全てにおいて安全が優先されます。

つまり、災害とは、決して、あってはならないものです。

 

ところが、大きな問題に至らないまでも、どんな人に完璧な人でも、必ず何らかのエラーをします。

つまり、ヒューマンエラーです。

 

労働災害に対する経験則の一つに「ハインリッヒの法則」があります。

「ハインリッヒの法則」とは、1930年代に、アメリカのハインリッヒ氏が労働事故・災害の発生確率を調査してまとめたもので、「1:29:300の法則」といわれています。

 

具体的には、1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な災害の存在があるということです。

さらに、29件の軽微な災害の背景には、300件もの災害に至らない「ヒヤリ・ハット行為」の存在があるということです。

この「ヒヤリ・ハット行為」がヒューマンエラーにあたります。

 

人間が何らかの行動に至るまでには、 認識→ 認知→ 判断・決定 といった脳内の情報処理の過程があります。

つまり、視覚、聴覚、体感覚から受け取った情報を脳に伝達し、それを記憶と照会して、行動の方向性を判断・決定して、実際の行動に移しているのです。

対して、ヒューマンエラーとは、計画された一連の活動の中で、意図した結果を得ることの妨げになった、人間の予期せぬ行動のこととされています。

つまり、行動に至るまで、脳内の情報処理の過程で発生するものであって、実は、人間本来の行動特性でもあるとされています。

 

品質「ヒューマンエラー」

 

 

|KY活動

 

ハインリッヒの法則からも、労働災害を発生させる根底ともいえるのがヒューマンエラーです。

しかし、それが人間本来の行動特性とするならば、闇雲に防止を訴えても効果があがりません。

そこで、ヒューマンエラーを誘発してしまう心理状態を事前に明らかにし、作業者自身に自主的に事前に対策を考えることを促すのがKY活動です。

KY活動とは、危険予知活動の頭文字を取った呼称です。

元々は製造業の間で普及した活動でしたが、現在では、建設業、運輸業など労働災害が想定させる様々な業界や職場で取り入れられています。

 

代表的な基本手法が職場を対象とした「4ラウンド法」です。

1.潜んでいる危険について意見を出し合う

2.危険要因を掘り下げポイントを整理する

3.危険を解消するための対策案を出し合う

4.重点的に実施すべき対策を具体化する

 

その上で、その危険個所を大きな声で指差し唱和を行い、さらに指差し呼称をしながら正確性、安全性に対する意識を高めます。

このとき、頭の中だけではなく、言語化して大きな声にすることが意識づけを高めるためにも重要となります。

また、KY活動は、決して、「やらせる」、「やらされる」ではなく、職場の仲間のため、自分の生命のため、さらには、家族を悲しませないため、個々が当事者意識を持って自発的に「やるべきこと」として取り組むことに意義があります。

 

とにかく、ヒューマンエラーの撲滅はあり得ないと覚悟すべきです。

故に、常に妥協することなく、ヒューマンエラーは起こることを前提に対策することが重要です。

ガバナンスの強化によって、その管理を徹底していただきたいと思います。

経営「ガバナンス」

 

 

 

吉澤 大樹(Hiroki Yoshizawa)  製造部  

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