マネジメント「工場巡視」
- 2022.02.01
|マネジメント
組織において、その成果を高める機能がマネジメントであるといえます。
故にマネジメントといっても、マネジャーの階層やその業務によっても異なりますし、必ずしも、マネジャーだけが行うものでもありません。
そのため、その手法も多岐に渡って存在します。
組織が、その成果を高めるには、まず課題を可視化させます。
課題とは組織の目標と現状とのギャップです。
その上で、ギャップである課題を解決させることで成果が高まることになります。
その中で重要な取り組みの一つが、現状を分析することです。
現状分析の手法としても様々ありますが、視点のあり方は重要視されます。
よく例えられるのが、「虫の目」、「鳥の目」、「魚の目」です。
三現主義を実践するためのミクロ視点である「虫の目」。
部分最適に偏ることなく、組織を俯瞰的に捉え、全体最適を実践するためのマクロ視点である「鳥の目」。
成り行き任せの場当たりではなく、環境の流れを時間軸で捉え、ビジネスチャンスやリスクを見逃さない千里眼であるともいえる「魚の目」。
それぞれの異なる視野である以上、決して噛み合うことがないのかもしれませんが、組織においては、どの視野も非常に大切であるかとは間違いありません。
|生産管理
製造業においても、よく混同されるのが「生産」と「製造」です。
しかし、厳密にいえば、異なる意味合いを持っています。
そもそも「製造」とは、原材料を加工して、製品を造る行為そのものです。
それを考えたら、ベンカンのビジネスモデルは紛れもなく、製造であり、製造業と称して問題ないかと思います。
対して「生産」とは、人間の経済活動の主要な活動であり、土地や原材料などから人間の何らかのニーズを満たす製品を作る行為、またはそのプロセスを指すとされ、その対義語が「消費」とされています。
つまり、「製造」とは「生産」の一部であり、「生産管理」こそが、マネジメントにあたるものということになります。
「生産」は、鳥の目あるいは魚の目のマネジメントです。
対して、「製造」は、「生産」に活かすための現状分析を虫の目で行うこととも解釈できると思います。
現状分析ですが、決して、机上論では適いません。
ベンカンにおいては、現場百回とのいわれる通り、製造の現場を把握することを基本としています。
|工場巡視
MJ工場(群馬県太田市)では、工場巡視を実施しております。
巡視の設置には、大きく3つの主目的があります。
(1) 生産進捗
生産における製造の進捗の現状を分析し、問題と原因を早期に発見、対策する
(2) 安全・衛生
現場における安全環境や衛生環境の現状を分析し、問題と原因を早期に発見、対策する
(3) スタッフ意識
現場スタッフの生産や安全、衛生に対する意識が低下しないように喚起を促す
また、巡視の各ポイントには、コントロールフラッグを設置しています。
これは、オリエンテーリングというスウェーデン発祥のスポーツに用いられるものです。
オリエンテーリングとは、地図とコンパス(方位磁針)を用いて、経路選択などをマネジメントしながら、地図内に設定された数箇所のポイント(コントロール)を通過して、いち早くゴールすることを競い合うものです。
MJ工場においては、漠然と巡回するのではなく、マネジメントしながら巡視することを意識するように、オリエンテーリングで用いられる本物のコントロールフラッグが各ポイントに設置されています。
また、目立つコントロールフラッグと巡視者の存在は、現場のスタッフたちの要所要所での意識喚起にも役立っています。
巡視者は、経営者、安全管理者、衛生管理者、産業医、マネジメント職者を中心に構成されています。
その頻度は、MJ工場へ常駐している対象者であれば基本的に毎日巡視です。
多い者では、1日に3回以上実施しています。
常駐していない巡視者には、最低でも月1回以上の巡視を義務付けています。
特に、普段から常駐していない巡視者の目には、常駐している者にとっては潜在的な問題点でも、顕在化させることが少なくありませんので有益です。
巡視に際しては、各コントロールフラッグに付帯したボードに巡視時間と各目的に沿った問題と原因などを書き込むことになっています。
もちろん、問題ばかりではなく、優れていると評価すべきことも記載して共有します。
今後も虫の目の視点による巡視を継続的に実施してまいります。
石崎 豊(Yutaka Ishizaki) 製造部 部長代理 兼 MJ工場 工場長