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コラム

設立10周年「ベンカン・ベトナム」

  • 2021.12.10

|経営戦略

 

日本の製造業にとって、外部環境がデフレ化したことなどによって、良いモノを作れるだけで売れない時代となりました。

そのため、経営戦略として多くの企業が、コストダウン策を模索しました。

その最たるものが、生産拠点を国内から中国を中心とした海外に求めたオフショアリングの推進です。

 

オフショアリングのshoreとは、岸のことです。

つまり、オフショアリング(offshoring)とは、生産の海外流出のこととなります。

 

これは、ベンカンも例外ではなく、例えば、鋳造加工製品は、中国の協力企業に生産委託しておりました。

しかし、この場合は、単なるコストダウンだけが理由ではありませんでした。

 

企業の資本型は、大きくBS型とPL型に分けられるかと思います。

BS型とは、大きな資本で稼ぐ資本集約型の企業を意味します。

対するPL型は、より少ない資本で効率良く稼ぐ企業となります。

PL型であるベンカンは、少ない投資で生産を海外(社外)に委託する戦略を取ったことになります。

 

しかしながら、近年では、海外情勢の不安定さもあって、オフショアリングしていた生産を国内回帰させる、つまり、リショアリング(reshoring)する企業が増えています。

ベンカンにおいても、中国の協力企業への生産委託では、納期、品質などをコントロールするには限界を感じつつありました。

また、労務費の高騰により、そもそものコストメリットすらもなくなってしまう可能性もあり、経営戦略として重大な決断を迫られておりました。

 

 

 

|ベンカン・ベトナム

 

ベンカンが、経営戦略の一環としてベトナムに生産拠点を設けたのは1995年のことです。

1993年から現地での調査を始め、ベトナム国防相傘下企業「751社」と委託加工契約を締結し、ベトナムでの生産を開始しました。

その後、2011年の環境規制によって委託加工契約が終了したことから、同年12月に、ベンカン100%出資のベンカン・ベトナムを設立しました。

つまり、ベンカン・ベトナムは、2021年12月で設立10周年を迎えることができました。

 

ベトナム(ベトナム社会主義共和国 Socialist Republic of Viet Nam)はインドと中国の間、インドシナ半島の東部に位置する人口約98,500,000人の東南アジアの国です。
その国土(約329,000㎢)は南北に細長く、北端から南端まで約1,600kmあります。
ベトナムは、北部・中部・南部の3つの区域に分かれ、北部には政治・文化の中心である首都ハノイ、中部には近年リゾート地として人気が高いダナン、南部にはベトナム最大の商業都市ホーチミンがあります。

ベンカン・ベトナムは、ホーチミンの中心部から西へ約35kmに位置するロンアン省のThuan Dao工業団地内に所在しております。

 

ベンカン・ベトナムの概要

会 長:我妻 武彦

社 長:谷藤 真吾

ホームページ:https://benkan-vietnam.com.vn/

Facebook:https://www.facebook.com/benkanvn

敷地面積:約15,000㎡(建屋面積約10,700㎡)
生産品目:ステンレス配管対応メカニカルジョイント・溶接式管継手
従業員数:約350人
許認可:ISO9001-2015、ISO14001-2015、ステンレス協会規格SAS322

 

ベンカン・ベトナムですが、設立当時は銅配管用のCUプレスを生産しておりました。

その後、ステンレス配管用のモルコジョイントなどのプレス(塑性)加工製品と株式会社ベンカン機工殿向けの溶接式管継手を生産するに至っております。

 

また、その後、中国の協力企業に委託していた鋳造加工製品の内製化に取り組みました。

鋳造加工とは、高温加熱により溶解させた材料を型に流し込み、冷やして目的の形状に固める加工方法です。

 

しかしながら、ベンカン・ベトナムは元より、ベンカン社内には、鋳造加工のノウハウも設備もありませんでした。

PL型のベンカンとしては、社内に生産設備を持たないまま、中国の協力企業に生産委託していたためです。

生産委託から内製化へのシフトは、新しく鋳造加工の設備投資が必要であり、PL型のベンカンにとっては、大きな決断でした。

 

また、設備を導入したところで、コスト、品質、納期のレベルを高めるには容易ではないことも理解しておりました。

まずは、プロジェクトスタッフが事情を理解して受け入れを認めてくれた鋳造加工の企業に出向して研修を受けました。

その後、その研修先の企業の協力を仰ぎつつ、約1年を要して設備を導入しました。

設備の導入後は、仮運転期間を経て、あまり精度を必要としない部材の生産委託を受けつつ4年弱、その製造技術を磨きました。

製品としては出荷しておりませんが、BKジョイントの生産にも取り組みました。

現在では、ベンカン・ベトナムが生産する主力製品は、鋳造加工によって生産する拡管式継手のBKジョイントⅡとなっております。

 

 

 

|成長戦略

 

現在、ベンカン・ベトナムは、ベンカンからの委託加工を事業として、日本向けの製品のみを生産しています。

今後も、この事業が主体となることには変わりがありません。

しかしながら、このままでは、良くも悪くも他力本願となってしまいます。

 

そこで、この設立10年を節目として、新しい経営戦略である成長戦略に取り組みます。

つまり、ベンカンあるいは、日本以外への販売先の拡大です。

これにより、ベンカンにばかり依存することなく、自身で採算が取れる体制構築を目指しております。

 

現在、ベトナム国内は当然ながら周辺諸国へ直接販売できるようにライセンスの取得を進めております。

同時に、これまでなかったセールス部門の設置を準備しております。

 

また、この成長戦略を推進する上で、日本向けの製品をそのまま販売するだけではなく、手を加えたり、場合によっては全く新しい製品の開発にも着手してまいります。

 

ベンカン・ベトナムを含めたベンカングループのスローガンは、「知恵と勇気を持って変化にチャレンジしよう!」です。

また、スローガンには、「私たちは おかれた環境の変化を意識して、それに立ち向かうために自らも変化します。」という言葉が添えられています。

 

近い将来、日本のみならず世界に認められる企業に発展できることを仲間と共に目指します。

 

経営「スローガン」

 

 

 

谷藤 真吾(Shingo Tanifuji)  ベンカン・ベトナム 社長

 

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