安全衛生「疲労回復」
- 2021.08.17
|安全衛生
高度経済成長期の日本は、多くの大規模工事や生産技術の革新による労働環境の変化も相まって、多くの労働災害を発生させるに至りました。
昭和44年(1969年)、当時の労働省の方々が中心となり、専門家を交えて法令の整備に取り組み、昭和47年(1972年)に成立したのが「労働安全衛生法」です。
労働安全衛生法は「職場における労働者の安全と健康を確保」するとともに、「快適な職場環境を形成する」目的で制定されました。
そもそも「健康」とは、安全と同様に、仕事もプライベートも関係なく何よりも優先されるものです。
WHO憲章において、「健康」について、その前文の中で、次のように定義されています。
Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが
満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)
また、健康を維持、増進させる上での基本的な考え方に「健康の三要素」があります。
適度な「運動」の習慣化、適正な「食事(栄養)」への改善、メンタルヘルス対策を含めた「休養(睡眠)」のバランスが重要といわれています。
|疲労とパフォーマンス
極端ではありますが、例えば、「一日中、バーベルを挙げ続けろ!」と言われても不可能ですよね。
人間のパフォーマンスを高めるためには、オーバーロードの原則にもあるように、適度の負荷を掛けることは重要です。
しかし、過剰な負荷をかけることは、身体的そして精神的にも過剰な疲労を生み出します。
疲労を伴ったまま、無理に負荷を掛け続けたらパフォーマンスを高めるどころか、怪我などの問題に繋がってしまいます。
疲労とは、身体的にも精神的にも自分の限界に直面したとき、回復のための休息を必要としている状態です。
自分自身で疲れを自覚できるときもあれば、意外と感じないときもあります。
一時的にパフォーマンスが落ちてきたら、自覚がなくとも疲れていると捉えるべきかと思います。
例えば、風邪は疲労で免疫力が低下した時になりやすいと言われています。
適度に休憩を取ることで、疲労が溜まらないようにするのは、とても大切なことです。
尚、食事や睡眠などの時間も取れないと言われる方は、仕事量を見直す必要があるでしょう。
身体を壊して仕事を休んでしまうようなことがあれば、本来達成できたはずの目標も達成できなくなります。
果たして、自分の勤務時間内にこなせる仕事量なのか、今一度確認してみてください。
また、それほど体力を使わない事でも、精神的な疲労が重なることで知らず知らずに疲れは溜まります。
例えば、車の運転もそのひとつです。
車の運転自体は体力をそれほど使いませんが、出発から到着までに事故を起こさないように、周囲の状況に注意を払い神経を研ぎ澄まさなければいけません。
神経を使うことで精神的疲労はより発生します。
会社から自宅への帰宅時には仕事をした疲れと重なり、気づかないうちに疲労が溜まり、事故の原因になることもあります。
科学警察研究所交通安全教室研究資料では、運転事故件数全体で見ると、午前8時前後と夕方17時〜18時に発生することが多いと記載があります。
定時が18時の会社だとすると、営業から帰社する時間や退勤の時間と被っております。
大人の集中力が持続する時間は平均45分、最長でも90分程度と言われています。
少なくとも1時間に一回は10分程度の休憩を挟み、事故のリスクを下げることを強く推奨します。
|疲労回復テクニック
心身ともにリラックスした状態でいると、新しいアイデアのひらめきや仕事の効率化にもつながります。
パフォーマンスを高めるため、あるいは維持するためには、如何に上手に疲労を回復させるかも重要となります。
ポモドーロテクニックをご紹介させていただきます。
短時間の作業と休憩を繰り返すことで、高いパフォーマンスを維持するというシンプルな時間管理術です。
「25分の作業+5分の休憩」を1ポモドーロとします。
そして、4ポモドーロ(2時間)ごとに25分間の休憩を取って、これを繰り返します。
これは、1990年代の初めにエンジニアやデザイナーなど、クリエイティブで高い集中力が必要な人たちが多いイタリアで発案されました。
因みに、ポモドーロとは、イタリア語でトマトのことで、発案者が時間を計測する際にトマト型のキッチンタイマーを使用していたことが由来なのだそうです。
小杉 優也(Yuuya Kosugi) 管理部