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コラム

コミュニケーション「言語化力」

  • 2022.08.01

|組織

 

組織とは、「意識的に調整された2人またはそれ以上の人々の活動や諸力のシステムである。」と定義したのは、アメリカの経済学者であるチェスターバーナードです。

 

人は、社会やコミュニティ、または個人の特定ニーズを満たす上で、一人で成し遂げることができることには限界があるために、何らかの組織を形成します。

 

そして、それぞれの組織は、それぞれ特有の目的を果たすために、社会の中で様々な活動を繰り広げます。

つまり、組織を形成する上で、その生産性が高まらなければ、組織を形成した意義がないことになります。

 

故に、バナードは、組織が、その目的を果たすための三要素を提唱しています。

それは、参画する個々が、①目的を共有していること(組織目的)、その②目的達成に貢献する意欲を持っていること(貢献意欲)、そのために常に適正な③コミュニケーションが取れていること(情報共有)です。

 

 

|コミュニケーション

 

組織の目的を果たすために、その生産性を高めるには、コミュニケーションが不可欠です。

 

コミュニケーションとは、社会学的には、社会組織の中で、それを形成する人間の間で行われる知覚、感情、思考の伝達と言えます。

また、心理学的には、自分自身との対話もコミュニケーションとも言えるようです。

 

つまり、優れたコミュニケーションとは、人間から人間に知覚、感情、思考などの情報が正確に伝わることと解釈されます。

また、伝わっただけではなく、それを再現できることも重要に考えます。

 

組織では、優れた意見が必ず認められるとは限りません。

組織の中で自分の意見を認めてもらうには、良好なコミュニケーションが必要です。

 

コミュニケーションの法則なんて呼び方もされるのが、「メラビアンの法則」です。

コミュニケーションを成立させるための条件と捉えた方が良いと思います。

その要素は、「言語」、「会話」、「対面」です。

 

Eメールなどの「言語(Verbal)」だけだと、7%しかコミュニケーションの条件が整わないとされています。

そして、電話などの言語を用いた「会話(Vocal)」となれば、45%(7%+38%)整います。

さらに、「対面(Visual)」による表情を加えた体全体の表現が加わって、やっと100%(45%+55%)のコミュニケーションが成立する可能性、条件が整うという統計を基にした考え方です。

 

 

 

|言語化

 

メラビアンの法則では、「言語」が占める要素はたった7%です。

しかし、このパーセンテージは、重要度を示したものではなく、コミュニケーションを成立させるための影響度と捉えるべきです。

確かに「言語」の影響度は7%しかないのかもしれません。

しかし、この「言語」が0%だったら、例え、「会話」が38%であろうと、「対面」が55%であろうが、コミュニケーションを成立させるのは至難の業です。

つまり、「言語」が基礎であって、そこに「会話」や「対面」が乗っているイメージなのかと捉えています。

 

例えば、マネジメントで有名なピーター・ドラッカー氏が残したメッセージに「コミュニケーションでもっとも大事なことは、言語化されてないことに耳を傾けることである。」があります。

 

組織には職人技などに象徴される通り、個人的に限定された経験や勘、ノウハウなどといった共有し難い暗黙知と呼ばれるものがあります。

対するのが、形式知といって、マニュアル化したり、数値、図表などに落とし込むことで組織で共有できる状態にしたものを形式知といいます。

つまり、ドラッカー氏は、組織においてコミュニケーションを高めるには、この暗黙知を形式知に変えることが大切であると説いているのです。

 

それが言語化です。

言語化とは、単に暗黙知を文字にするのではありません。

そもそも、暗黙知とは、言語化できないからこその暗黙知です。

もちろん、言語化できない以上、再現性も非常に難しくなります。

 

 

 

|習慣化により力をつける

 

言語化には、まずは、暗黙知をロジカルに整理する必要があります。

ロジカルとは、主張に対しての説明の道筋が正しく通っていることです。

主張に対して論拠を求めることを「縦の論理」と言います。

これによって、曖昧であったり、理解し難い考えをシンプルにし、組織内で共有させ易くする(構造化)することが可能です。

加えて、ミッシー(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)と呼ばれる「横の論理」もあります。

これは主張や論拠を整理する上で、不足していたり、重複していることはないかを探り出す手法でもあります。

しかしながら、これらの手法は決して万能ではありません。

その他にも、ロジカルに言語化する上での手法は複数ありますので、状況によって使い分けてみるのも大切です。

その上で、それを言語化して行くことになります。

また、言語化としっても、文字にするだけではなく、数値や図形を用いたり、説明する上での会話力、対面力も必要となります。

さらに説明を受ける側にとっては、説明の意図を理解する読解力も必要であることを理解しておくべきです。

 

ロジカルに考えれば、簡単に言語化できるものではありませんし、簡単に言語化力が養われるものでもありません。

そもそも、言語化することに対して、苦手意識のある方も少なくないかと思います。

 

そこで、組織であれば、できる限り共通のフレームワークを活用した方が良いと考えます。

 

例えば、ホールパート法です。

主張(ホール:Whole)を伝えてから、その論拠(パート:Part)を伝えることを意味します。

これを樹木に例えると、まず、主張である「幹(目標)」を宣言します。

次に、その「幹(目標)」を裏づける論拠である「枝(アクションプラン)」を3つに分けて報告します。

ここで、敢えて3つに定量化するために受け取る側も全体像を把握し易くなります。

そして、論拠の詳細である「葉(具体的行動)」を説明します。

最後に再確認の意味で、もう一度、主張である「幹(目標)」を宣言して締めます。

このフレークワークの中に如何に、文字数を制限した言語を当てはめるかが重要となります。

忠実に実践しようとすれば、嫌でも主張と論拠を意識せざるを得なくなり、結果的にロジカルになります。

また、手順がパターン化されているために、シンプルでコンパクトな情報となるために受け手にとっても理解し易くなります。

 

その上で重要となるのが、日頃から自分自身の活動をロジカルに言語化する習慣です。

例えば、日報などは、その一つかと思います。

自分自身の備忘録としてだけではなく、組織で共有できるように言語化すべきです。

また、様々な共有目的の機会を設けることも良いかと思います。

 

対して、マネジメント職などは、フィードバックを行うことで、より暗黙知が形式知に置き換えられるはずです。

そして、このPDCAサイクルを回し続けることで、習慣化すれば、それが訓練となります、自ずと言語化力が養われるはずです。

そうすることで、結果的に組織のコミュニケーションが向上し、生産性も高まってくると考えております。

 

 

 

宮野 宣子(Noriko Miyano)  管理部

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