安全衛生「RICE処置」
- 2021.04.23
|安全衛生
事業者には、労働安全衛生法に基づき、様々な労働災害防止措置を講ずることが義務付けられております。
その内容は、事業所によって、個別あるいは周辺環境など地場に密着した細部に渡るものとなります。
特に危険な作業を必要とする特定機械等を設置、稼働させる場合には、労働局長等の許可が必要であり、製造時・輸入時には検査を受けることが義務付けられています。
その他、特定機械等以外の機械(設備)でも、労働者に危険を生ずる可能性がある場合には、いくつかの制限があり、定期的に自主検査を行うことなどが義務付けられているものもあります。
また、労働安全衛生法では、事業者に対して、労働者の健康障害を防止する措置を講ずることも義務付けられております。
そのために、事業者は、労働者の健康を保持するために、その状態の把握と必要な措置を講じなければなりません。
ベンカンでは、その執行責任部署を管理部とし、安全衛生委員会と共に実施しております。
|打撲、捻挫、肉離、脱臼、骨折
しかし、どんなに防止処置を施しても、災害が起こることも、体調を悪くする労働者もいます。
その場合は、如何にして大事に至らないように、迅速に応急処置をするかが重要となります。
例えば、ベンカンのMJ工場内の作業では、ケガが起こり得ることを想定して、防止処置と治療処置の体制を取っております。
ケガにも、様々な種類がありますが、痛みと腫れを伴う打撲、捻挫、肉離、脱臼、骨折について解説します。
打撲:何かとの強い衝撃があった。
捻挫:強い捻りにより関節の靭帯が伸びた。
肉離:筋肉に過度の負担を掛けた際に筋繊維の一部が断裂した。
脱臼:関節の可動域を超える稼働をすることで関節が外れた。
骨折:身体に無理を掛けることで、骨が折れた。
また、これらのケガに共有するのが腫れです。
腫れにもいろいろの種類がありますが、ケガをした所が大きくふらむことです。
例えば、皮下出血による腫れの場合は、
皮膚の下の柔らかい組織の、筋肉から、関節についている靭帯・関節包から、時には骨から、いろいろな所から出血が起こります。
外からは見えませんが、血管内を流れる血液が切れた所から流れだし、皮膚の内がわに溜まった状態、これが皮下出血です。
ここで出血が起こってはいけないと思っている方も多いでしょう。
しかし、治るための必要な過程であり、あってはいけない症状ではありません。
また、医師が診断した際に、腫れの硬さでどこからの出血かを判断する材料にもなります。
どちらにしても、これらのケガあるいはケガの可能性がある場合には、現場での応急処置から一刻も早い医師の診断と治療に引き継ぐことが重要です。
|RICE処置
応急処置として、ここでは、スポーツなどでは一般的な処置方法であり、痛みや腫れを軽くする RICE処置 をご紹介します。
RICEとは、Rest、Ice、Compression、Elevationの頭文字を取ったものです。
Rest 安静
ケガした幹部を安静にして、動かさないことです。
基本は横にして寝かせることですが、むやみに動かさない方が良い場合もあります。
状況を良く見て、最も安静を保てる姿勢にしてあげます。
Ice 冷却
患部を氷や氷水で冷やしてあげることです。
体温を下げることで、患部の毛細血管が収縮して、腫れや内出血、痛みなどが抑えられます。
但し、冷やしすぎると凍傷になるリスクがあるので、患部に氷を直接当てずに、氷のうを使ったり、間にタオルを挟むなどして、20〜30分毎に、一度外してゆっくり皮膚感覚を取り戻して、これを何度か繰り返します。
48時間は、出血が止まらない急性期ですが、その後は徐々に腫れは減ってきます。
Compression 圧迫
患部を包帯やテープで圧迫して腫れや内出血を最小限に抑えることです。
また、患部を固定する意味合いもあります。
但し、圧迫しすぎると血流障害や神経障害を起こしますので、しびれや変色が生じたらすぐに緩めます。
Elevation 挙上
患部を心臓より高い位置に保つことです。
血液が心臓に向かって流れるので、内出血による腫れを防ぐことができます。
患部の下に座布団やクッション、たたんだ毛布などを敷いてあげます。
吉澤 大樹(Hiroki Yoshizawa) 製造部