地域情報「東京駅 赤レンガ駅舎」
- 2013.01.10
｜歴史と文化における役割
東京駅丸の内口の「赤レンガ駅舎」は日本の歴史と文化において重要な役割を果たしてきました。
その役割は、復興、戦争、そして近年の復原の過程を通じて変遷してきました。
東京駅は関東大震災後の復興期において重要な役割を果たします。
1923年の震災で東京市内は甚大な被害を受け、その中で東京駅は再建の象徴として位置付けられ、その際、当時の最新技術を駆使した建築や設計が施され、国際的な交通拠点としての機能を兼ね備えることとなりました。
次に、第二次世界大戦中においては、東京駅は戦時中の戦略的な拠点としても利用されることになりました。
そしてその結果、空襲により3階部分の鉄骨造の屋根は焼け落ち、内装の大半も失われてしまいました。
終戦を向え、1947年（昭和22年）に掛けて行われた修復工事では、歴史的な価値を持つ建築要素やデザインが保護され、再現されることで、その文化的な重要性が再確認されました。
しかしながら、安全性に配慮して、焼失の著しかった3階部分は撤去され、2階建に変更となってしまいます。
また、南北の両ドームは丸型から八角形の暫定的な形に、内部のホール天井のデザインもそれぞれ変更せざるを得ませんでした。
｜復原工事
その「赤レンガ駅舎」の焼失した3階部分と南北の両ドームも含めた復原工事が、2007（平成19）年に着工されました。
歴史的な価値を保ちつつ、現代の利便性や安全基準に合わせた工事が行われ、ついに2012年10月に竣工を迎えました。
今回の工事の凄さは、修復ではなく復原であるところです。
創設当時の資料や写真などを参考にして、仕様や工法を努めて採用されています。
まず、赤レンガ駅舎と言うだけあって、創設時の極めて平滑かつ緻密で、角が鋭利であったレンガ表面の肌合いと色が再現されています。
象徴的な南北ドームは、3階部分の壁面、天井面のデザインが忠実に再現されています。
その上で、1・2階部分は、オリジナルのイメージを残しつつ近代的な機能に即したデザインに変更されているとのことです。
その他にも、最新の免震技術が採用されるなど、正に歴史と近代の融合とも言える建物になっています。
そして、この歴史的な建物および工事において、ベンカンのステンレス配管
をご採用いただきました。
勿論、創建時にステンレス配管はありませんでしたので、近代建築の代表の一つとしてご採用いただけたのだと思います。
「赤レンガ駅舎」は、この復原工事を経て、改めて日本を代表する建物であることを印象付けられました。
そして、その様なプロジェクトに関わることができた喜びと責任を強く感じております。
掛川原 豊（Yutaka Kakegawara） 営業部 開発営業 特命課長
