品質「検査のあり方」
- 2016.11.21
|TQM(総合品質マネジメント)
モノづくりにおいて、品質保証(Quality Assurance)は顧客との信頼を構築する基幹部分です。
だからこそ、顕在化した品質の問題を対処するだけではなく、その根本から改善することで、そもそもの品質の問題が発生しない体質、つまり安定した信頼度の高い品質のつくり込みが重要です。
そのためにも、ベンカンではTQMによる品質保証体制の構築に取り組んでおります。
TQM(Total Quality Management)とは、総合的品質マネジメントといわれる通り、従来の「品質管理」にばかり依存するのではなく、顧客満足(CS)を核として推進されます。
つまり、ベンカン品質の追求は、上流の「源流管理」から「品質管理」そして下流の「アフター管理」までのバリューチェーンの最適化と向上によって、「品質のつくり込み」を行うことです。
TQMを支えるものは、管理フロー(源流管理→品質管理→アフター管理)と継続的な改善PDCAサイクルです。
結果的に顧客の皆様とお約束した品質を担保することにつながり、その満足度を高めることとなります。
|検査のあり方
TQMにおいて、品質管理は、内部の取り組みであって、だからこそ、もっともコントロールできる部分であり、もっともコントロールしなければならないフローです。
その目標は、弛まない「品質のつくり込み」の追求による成果です。
「品質のつくり込み」とは、顕在化した品質の問題を対処するだけではなく、その根本から改善することで、そもそもの品質の問題が発生しない体質、つまり安定した信頼度の高い品質にすることです。
従来は、ややもすると製造工程後の「検査」活動にばかり依存した「品質管理」の傾向にありました。
「検査」とは、製品の質が、あらかじめ定められている規格要求事項と比較し、適合しているかを、計器類(測定器やゲージなど)を用いて判定することです。
しかし、「検査」に依存させ過ぎると、品質トラブルが発生する度に強化することになり、結果的にダブルチェック(二重検査)、さらにはトリプルチェック(三重検査)まで横行していまいます。
それは、検査工数の増大によって、過剰な品質となってしまうかもしれません。
さらには、検査員1人当たりの検査項目の増加により、すべての検査項目を確認し切れず、逆に不良品(不適合品)を見逃してしまう危険性もあります。
そのためにも、そのため品質管理では、この「検査」を主体としたマネジメントにより、品質をつくり込むことに妥協せず、徹底しております。
それも、顧客の皆様とお約束したベンカンブランド(品質)を保証(担保)するためのものだからです。
|校正とトレーサビリティー
製品の品質を判定する「検査」です。
しかし、「検査」によって、判定が合格であったとしても、使用する計器類に誤りがあったら、それは正しく検査されているとは言えません。
そこで、正しい検査が成されている事を立証するための品質保証として定期的に「校正」作業を実施します。
「校正」とは、JIS Z 8103 計測用語の定義では、「計器又は測定系の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と、標準によって実現される値との間の関係を確定する一連の作業(校正には計器を調整して誤差を修正することを含まない)」とされています。
つまり、「校正」とは、「検査」するための計器類を「検査」する作業なのです。
さらに突き詰めると計器類を「検査」するための基準器(実量器・標準物質・ゲージブロックなど)の信頼性が重要視されます。
そのため校正作業に用いられる基準器は、「トレーサビリティ」が取れているものを使用しています。
「トレーサビリティ」とは、JIS Z 8103計測用語の定義より「不確かさがすべて表記された切れ目のない比較の連鎖によって、決められた基準に結びつけられ得る測定結果又は標準の値の性質。基準は通常、国家標準又は国際標準」であるとされています。
これをスーパーなどで販売されている野菜に例えると、生産者や産地、収穫日などが記載されている生産履歴のこととなります。
故に「トレーサビリティ」が取れた校正には、校正証明書が発行されます。
以上の通り、「検査」には、国家基準に繋がる「トレーサビリティ」の取れた基準器(実量器・標準物質・ゲージブロックなど)にて「校正」した計器類(測定器やゲージなど)を使用しております。
「校正」と「トレーサビリティー」は、「検査」の基本であると考えています。
金子 美智子(Michiko Kaneko) 製造部 品質管理課 課長