ステンレス建材の手入れ
- 2018.06.07
|ステンレスとは・・・
ステンレス鋼とは、鉄(Fe)をベースに、クロム(Cr)などを配合して人工的に造った金属です。
その定義は、「炭素含有量 1.2%以下・クロム含有量 10.5%以上の鋼」とされています。(ISO規格より)
よく、ステンレス製のスプーンやフォークの裏に「18-8」と表記されていますが、これは、18%のクロムと、8%のニッケルが含まれていることを意味します。
クロムと言えば、鉄などを錆にくくするためのメッキ材として有名です。
表面が輝いている金属をステンレスだと思っていたら、実は、クロムメッキされたものだったなんてことも少なくありません。
そして、このクロム(Cr)が大気中の酸素(O)と結合する事で、表面に1~3nm(ナノメートル)程の薄い「不動態皮膜」を形成します。※1ナノメートル=100万分の1ミリ
この「不動態皮膜」が保護皮膜となり、最大の特性でもある「耐食性」を高めている事になります。
更に「ステンレス鋼」の優秀さを高めているのが、不動態皮膜の「自己修復機能」です。
仮に加工中や使用中に不動態皮膜が破壊されてしまった場合でもメッキや塗装と異なり、鋼中のクロム(Cr)と大気中の酸素が結合し、「瞬時に再生」致します。
この再生に時間がかかれば錆びが進行してしまうため、ここでの「瞬時に再生」は重要な機能です。
|ステンレスの用途
ステンレス鋼は、錆びにくい特性から衛生的であるためにスプーン・フォーク・ナイフなどの食器類や包丁、鍋などの調理器具、医療機器などのにも多く使用されております。
更に耐熱性、加工性、強度などにも優れており、環境に対する社会の関心が高まる中、100%リサイクル可能な材料として高く評価されています。
これらの優れた特性に加え、メンテナンスが容易であったり、外観の美しさも保てるために、建材としても多く使用されています。
それは、屋根、システムキッチン、雨どい、ドアノブ、手すり、柵、門扉、車庫などの建材やエクステリア・・・
また、見えない部分でも、構造材、釘、ねじ、蝶番など・・・
もちろん、給水・給湯配管にも使われており、多種多様です。
イニシャルコストが割高になる場合もありますが、適正な用途に使用し、正しいメンテナンスを行うことで、ライフサイクルコストで見た場合には十分にメリットを出せるものだと考えます。
|ステンレス建材のお手入れ
ステンレス鋼は、メンテナンスが容易ではありますが、完全なメンテナンスフリーではありません。
用途別に適正なメンテナンス方法がありますが、ここでは建材(配管除く)としての、一般的なメンテナンス方法についてご紹介いたします。
①もらい錆びの初期
ステンレスシンクの上に、濡れたままスチール缶などを置くと、しみの様な跡が着く場合があります。
これは、もらい錆びと呼ばれるもので、スチール缶などの錆びがステンレスの表面に移った状態です。
しかしながら、もらい錆びの初期やその他の原因による錆びのごく初期のしみ程度の段階であればステンレス表面自体は、全くあるいは極僅かしか影響を受けていません。
その状態であれば、市販の清掃薬剤のうち初期の錆びや汚れに有効な種類を用いることにより、ほとんど元通りの表面に戻すことができます。
②もらい錆びの後期
もらい錆びをそのまま長期間放置すると、ステンレス鋼を錆びにくくしている「不動態皮膜」を侵し、ステンレス素地にまで影響を与え始めます。
その様な場合は、市販の清掃薬剤のうち強力な錆び落とし剤が必要となります。
また、これらの薬剤でも尚、錆びが除去できない場合は、予めサンドペーパーやステンレスブラシなどである程度、錆びを削り落とした後、薬剤を使用すると除去しやすくなります。
この場合は、ステンレスの表面にこすり傷がつくことは避けられません。
錆びを除去した後に、再度研磨仕上げをし、場合によっては、ステンレスの表面を一時的に保護するための塗料を塗布する必要がある場合もあります。
daigo shiroyama