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コラム

ISO(国際標準化機構)規格

  • 2019.07.10

|国際標準化

事業が発展すると必ず必要となってくるのが、品質、性能、安全性、寸法、試験方法などの標準化された規格です。

各企業がそれぞれの規格で取り組んでいては、その事業は企業の域から出ることが出来ず、市場自体も混乱して発展させることは困難です。

 

そこで、関係企業や業界などで標準化された規格が制定されることがありますが、市場に広く認知され、結果的に一般化した規格(これを「デファクトスタンダード」と呼びます)もあります。

例えば、Microsoft Windowsのオペレーティングシステム、QWERTYキーボード配列、USB規格などが挙げられます。

 

また、公の機関が標準化された規格を制定する場合もあります。

これを「デジュールスタンダード」と呼びます。

例えば、Wi-Fi規格(IEEE 802.11)、電気通信の標準規格(ITU-T)、日本のJIS(日本産業規格)が代表例です。

 

さらに事業が国際的に発展しようとすると、今度は、諸国間の規格の標準化が重要視されます。

逆にこの国際的な標準化が推進されなければ、事業の国際的な発展は見込まれません。

 

このような背景を受けて、1947年、ISO(国際標準化機構:International Organization for Standardization)がスイスのジュネーブに設立されました。

ISOの目的は、「商品とサービスの国際的な交換を安易にし、知識・科学・技術・経済に関する活動において、国際的な協力を助長するため、国際的な規模の標準化とこれに関連する諸活動の発展・促進」です。

 

 

|ISO規格

 

グローバル化の障壁となった各国規格の相違を解消するためにISOは規格の標準化に取り組みました。

ISO規格の制定や改正は、日本を含む世界169ヵ国(2023年現在)の参加国の投票によって決まります。

 

身近な例としては、ネジ(ISO 68)、非常口のマーク(ISO 7010)、カードのサイズ(ISO/IEC 7810)などがあります。

これらは、製品規格として、主に製品個別の構造・寸法・材質・性能などを定めるものです。

 

一方、環境の変化や社会的なニーズの多様化に伴い、単なる製品の規格だけでなく、組織全体の運営や管理に関する規格も求められるようになってきました。

これが、マネジメントシステムに関する規格であり、ISO9001やISO14001が、その代表例です。

 

▲主なISO規格と各マネジメントシステムの目的

ISO9001は、品質のマネジメントシステムに関する規格です。

企業などの組織が顧客や社会などが求めている品質を備えた製品やサービスの管理し、より優れた品質の製品やサービスを製造あるいは提供するためのシステムを定めたものです。

 

ISO 14001は、環境のマネジメントシステムに関する規格です。

組織を取り巻く環境(地域住民・利害関係者・水・空気・緑地など)に対して組織が与えている影響を明確にし、悪い影響がある場合はそれを解決するためのシステムを定めたものです。

 

これらマネジメントシステムに関する規格は、それぞれの目的を果たすために課題を掲げて取り組むものです。

 

これまで営利目的を優先してきた時代から、社会貢献、環境貢献が求められるようになり、それらが顧客との取引条件や消費者の購買判断基準にまで及ぶようになったことが背景にあります。

実際、一部の公共事業や海外の経済協力プロジェクトの入札資格審査でも、ISOの認定が条件となることが多く、認定を受けた工場や事業所は、世界で 約13万に達し、国内でも約3,000に及 びます。

 

これは、ISO規格が、国際的な企業の社会的責任(CSR)や信頼性を標準化する重要な存在であることを示しています。

 

 

|ISO規格のマネジメントシステム

 

▲ベンカン・ベトナムは、ISO9001ならび14001を取得している

ISO規格のマネジメントシステムに関する規格の制定には、目的を遂行する上での障壁となるリスクの洗い出しと、改善に向けた管理が重要です。

マネジメントを推進する上での代表的な手法が、マネジメントサイクルとも言われるPDCAサイクルです。

 

PDCAとは、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価・検証)、Action(改善行動)の頭文字とったものです。

 

計画(P)は、仮説に基づいています。

行動(D)は、計画(P)を評価・検証(C)するために行われます。

正しい評価・検証(C)は、計画(P)に基づいた行動(D)によって成り立ちます。

そこから、質の高い改善行動(A)に結び付けることが可能です。

 

PDCAサイクルで最も大切なのは、改善し続けることにあります。

つまり、PDCAサイクルを回す度に、行動の質は高まり、成功へと近づくことになります。

そのため、元に戻るサイクルではなく、スパイラルアップすることからもPDCAスパイラルと表現されることがあります。

ISO規格のマネジメントシステムにおいても、認定を受けたから完了ではなく、定期的に更新審査が実施されます。

そこで、常にPDCAサイクルが回されているかが確認されます。

 

takayuki kinoshita

 

 

 

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