マンションの給水管
- 2020.11.27
|給水管のしくみ
人の体は、60%が水であるといわれています。
故に、すべての人々にとって、生きて行く上で、衛生的な水は絶対に欠かすことができません。
そして、それは一時的なものではなく、不測の事態も含めて持続的に供給できる給水のしくみが必要となります。
給水管は、その重要な役割を担っており、正にライフラインです。
源泉から取水された水は、浄水場で安全な水に処理され、本管とも呼ばれる配水管で各住まいの近くまで運ばれ、そこから各宅地に給水管によって引き込まれます。
給水方式は、直結給水方式と貯水槽水道方式があり、地域、使用用途、給水高さ、所要水量、維持管理等に応じて、いずれかの方式を選定することとなります。
一般的な戸建住宅(東京都では3階建て以下)の場合は、配水管からの直圧で給水が可能なため直圧直結給水方式となります。
|マンションの給水管
戸建住宅に対して、マンション(集合住宅)の中高層の建物には、直圧で上層階まで給水することが困難なために、増圧直結給水方式または貯水槽水道方式が選定されることになります。
増圧直結給水方式とは、給水管に増圧ポンプを設置し、水圧の不足分を増圧して、中高層階まで揚水して直結給水する方式です。
対して、貯水槽水道方式は、水を一旦、受水槽に貯めて、その後ポンプを使って揚水して、屋上の高置水槽へ貯めて、自然流下により降水させて給水する方式です。
なお、受水槽もしくは高置水槽の片方だけを設置する場合もあります。
従来は、貯水槽水道方式が一般的でしたが、貯水槽の衛生管理などが問題視され、近年の新築のマンションなどでは、ほとんどが増圧直結給水方式となりました。
反面、貯水槽に予備水があるために災害時には、貯水槽水道方式の方が良いとする考えもあります。
また、増圧直結給水方式には、標準型に対して、直列多段型と並列型と呼ばれる方式もあります。
直列多段型は、1機の増圧ポンプだけでは揚水圧力が不足してしまう高層マンションなどに採用されるもので、複数の増圧ポンプを直列に設置し、給水する方式です。
並列型は、戸数の多い大規模なマンションに採用されるもので、増圧ポンプを並列に設置し、給水する方式です。
その他、配水管の水圧が高い地域での特例として、例えば4階建て以上の建物でも直接給水が認められる特例直結給水方式を採用する場合もあります。
【参考サイト】東京都水道局
|給水管の管種
地域によって、多少の違いがありますが、増圧ポンプや受水槽の手前にある水道メーター(量水器)までは、水道局・水道事業者の管轄部分である一次側となります。
対して、水道メーター以降は、住居者責任の二次側となります。
しかし、マンションには、住戸毎に水道メーターがあります。
それ以降の給水管は紛れもなく、住居者の責任範疇である専有部となります。
問題は、元にある水道メーターと各住戸の水道メーターの間の給水管の管轄です。
これは、住居者組合などが管轄する共用部となります。
専有部の給水管は、住居者個人の判断でリフォームしたり、破損などを改修したりすることも可能です。
対して、共有部分は、住居者組合などの同意が必要となり、仮に破損があってもなかなか改修することが出来ないなどのトラブルもあります。
そのため新築のマンションでは、共有部の給水管は、持続性に優れたサステナブル配管であるステンレス配管が採用されるケースが増えています。
対して、専用部分は、新築やリフォームの際の施工性に優れた架橋ポリエチレン管などの樹脂管が採用されるケースが多い状況です。