マネジメント「ハインリッヒの法則」
- 2023.09.25
|マネジメント
企業の目的とは顧客の創造であり、その目的を果たすために機能させるのがマネジメントです。
結果的に経営における社会的な存在意義を高めることに繋がります。
マネジメントでは、ヒト、モノ、カネ、情報などといわれる経営資源を有効に活用して価値を創造します。
しかし、マネジメントは価値を創造するだけではありません。
それが、リスクマネジメントです。
リスクという言葉は、日常的には危険性や危険度といった意味合いで用いられています。
具体的には、災害や事故、パンデミック、情報漏えい、データ改ざん、コンピューターウィルスの感染などになろうかと思います。
しかしながら、経営の観点からすると、より厳密に想定からの影響の大きさや発生の可能性などと捉えます。
リスクマネジメントとは、創造した価値の維持と捉えて良いかと思います。
事業全体を把握して、その継続を阻害する緊急事態の発生を未然に防ぐ。
あるいは、それでも発生した場合に、被害を最小限に抑える。
それらの原因となる事象の全てを予測して防止策、早期復旧策を検討することです。
結果的に、それが企業価値の向上にもつながります。
|ハインリッヒの法則
製造業にとって、安全第一ともいわれる通り、災害とは、決して、あってはならないものであり、全てにおいて安全が優先されます。
それは、ヒト、モノ、カネ、情報などの経営資源を守るためです。
ところが、大きな問題に至らないまでも、どんな人に完璧な人でも、必ず何らかのエラーをします。
つまり、ヒューマンエラーです。
「氷山の一角」という言葉があります。
表面に現れている事柄は全体の極一部にすぎないことの例えです。
この言葉を論理的に示したのが、製造業の間で良く用いられる、常識的な労働災害に対する経験則の一つであるハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則とは、1930年代に、アメリカのハインリッヒ氏が労働事故・災害の発生確率を調査してまとめたもので、1:29:300の法則ともいわれています。
具体的には、1件の重大な事故の背景には、29件の軽微な災害の存在があるということです。
さらに、29件の軽微な災害の背景には、300件もの災害に至らないヒヤリ・ハット行為の存在があるということです。
このヒヤリ・ハット行為がヒューマンエラーにあたります。
勿論、この比率は、業種によっても異なるでしょうし、企業によってもことなってくると思います。
実際に類似の研究であるバードの事故比率では、297社の175万件の事故報告の分析では、1(重傷・廃失):10(傷害):30(物損のみ):600(傷害も物損もない事故)という比率が導き出されています。
これらの研究成果で重要なことは、比率の数字ではありません。
災害という事象の背景には、軽い油断が招くヒューマンエラーが存在しているという事実を理解することが大切です。
|リスクマネジメント
ベンカン、特に工場におけるリスクマネジメントと言えば、以前は、リスクヘッジ主体の活動でした。
いわゆる、問題が起きてから再発を対処するような体制です。
しかしながら、これでは、過去に経験した問題であれば事前に対策できていても、初めて体験するような問題、ましてや予期しない問題には対処できません。
多くの製造業の現場で実施されているものにカイゼン活動があります。
その原語は、改善です。
改善の意味は、悪い(劣った)ところを改めて、良くすることですので、リスクヘッジ同様に事後対処です。
対して、カタカナで表現されるカイゼンとは、工場内で、常に作業効率や安全性の最善を追及する事前活動です。
よって、カイゼン活動の中で、ヒヤリ・ハット行為の撲滅を大きな課題としています。
つまり、ヒヤリ・ハット行為の撲滅が重大な事故あるいは軽微な災害の発生を未然に防ぐことが出来ると捉えています。
その他、安全衛生週間、電気使用安全週間、火災予防運動、交通安全運動、危険物安全週間、消防訓練など事故や災害を抑止するためのイベントも実施して意識の高揚にも努めております。
正直、対処しても対処しても、新たなヒヤリ・ハット行為が発見されるいたちごっこの様なものです。
実際、ヒューマンエラーは、人間である限り、撲滅は難しいのかもしれません。
それでも、撲滅することを決して諦めずに継続的に取り組んで行きたいと思います。