マネジメント「声をカタチにする。」
- 2012.12.18
|マネジメント
企業には、特有の目的を果たすことによって、社会において存在することの意義が求められます。
そのために、ヒト、モノ、カネ、情報などの様々な経営資源を活用することとなります。
しかしながら、それらの資源には、多能な要素があります。
例えば、人材であれば、それぞれの能力も均一ではありませんし、それぞれに、長所もあれば、欠点もあります。
それ故に、組織の存在意義を高めるためにも、マネジメントを機能させ、それぞれの長所を活かし、それぞれの欠点を補い合いながら、より大きな目標を達成させることが大切です。
このマネジメントを開発したとされるのが、ピーター・F・ドラッカー氏です。
その著書である「マネジメント 基本と原理」の中で、「マネジメントは、組織に特有の使命、すなわち、それぞれの目的を果たすために存在する。」と示しております。
また、マネジメントのために企業が持つべき機能は、マーケティングとイノベーションであるとしています。
|アイデアの創造
マーケティングはともかく、イノベーションは最近になって行く耳にするようになった言葉かもしれません。
しかし、言葉だけが先行し、中身が伴っていないケースも散見します。
それは指数でも明白で、「The Economist 世界統計年鑑2019」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)によると、先進各国のイノベーション指数がアメリカ 4位、イギリス 5位、ドイツ 9位、韓国 11位 に対して、日本は 14位でした。
そもそも、イノベーションとは、「変革」や「革新」などと訳されます。
そのため何もないところから生まれたものであると勘違いして難しく捉えてしまい、資金力の富んだ大企業のものであるかのように考えられがちです。
しかし、イノベーション(innovation)の語源は、「中に(in)+ 新(novus)」であると言われています。
そこから、「新結合」と訳される場合もあるくらいです。
マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーは、「イノベーションとは基本的に失敗のマネジメントであり、少数のすぐれたアイデアを得るためには、たくさんの劣ったアイデアを生み出す必要がある」と言っています。
つまり、イノベーションの源泉は、アイデアと言うことになります。
ところが、現実は、なかなかアイデアは出てきません。
そもそも、アイデアを出そうとする意識の低い人は論外として、「劣ったアイデア」でも構わないとしているにも関わらず、多くの人が「すぐれたアイデア」に執着しているように思えます。
結果、アイデアを出すこと・・・声を出すことを躊躇してしまうようです。
しかし、「アイデアのつくり方」の著者で有名なジェームス・W・ヤングが「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」だと定義づけている通り、あまり難しく考えない、ヒラメキの方が良いようです。
但し、ヒラメキとは、何も考えないのとは違います。
アイデアの段階から時間を掛け過ぎることは良くありませんが、限られた時間で早急に答えを出してみることが大切に思えます。
|声をカタチにする。
また、せっかくアイデアを出している人がいるのに、その声に耳を傾けずにスルーしてしまったり、ダメ出ししてしまう管理職もいます。
確かに、「すぐれたアイデア」と「劣ったアイデア」が混在している以上、全てのアイデアを受け入れることはできません。
しかし、「劣ったアイデア」に対しては、何がダメだったのかをフィードバックしてあげることが大切であり、後の「すぐれたアイデア」につながるのかと思います。
その意味からも、2018年のスローガンは、「声を出す。声を聴く。」として取り組みました。
実際、スローガンを受けて、やらされ的に声を出すケースも否めませんが、中には、積極的に意見を出せる人も増えてきました。
そこで、2019年のスローガンは、さらにステージを上げることにしました。
それは、「声を出す。声を聴く。」そして「声をカタチにする。」です。
つまり、たくさんのアイデアの中から、その価値を見出して、カタチ・・・結果に結び付けて行きたいと思います。
そして、その中から、社会に変化を起こして行くことになるようなイノベーションが起これば最高です。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長