マーケティング「アプローチ手法」
- 2012.12.18
|マーケティング
マネジメントとは、組織の目的を果たすために不可欠なものです。
組織である企業にとっての目的は「顧客の創造」であり、それを達成させるためにマネジメントが欠かせません。
著名なドラッカー氏は、その著書の中で、マネジメントに必要な機能の一つに「マーケティング」をあげています。
しかし、その「マーケティング」ですが、未だに日本では、複雑に考えられています。
実際、JMA(財団法人日本マーケティング協会)の定義では、「マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である。(1990年)」と実に分かり難い表現になっています。
対して、ドラッカー氏は、「マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。」と示しています。
また、マーケティングの父とまで呼ばれるフィリップ・コトラー氏は、「ニーズに応えて利益を上げること」と実にシンプルです。
日本の代表としては、理央 周 氏が、「自然に売れる仕組みをつくること」と定義されています。
|パーソナルアプローチの限界
マーケティングを行うためのアプローチ手法には、大きく分けて、パーソナルアプローチとマスアプローチがあるとされています。
パーソナルアプローチは、営業パーソンが顧客や見込み客に対して、訪問して、ほぼ、マンツーマンで提案するものです。
この場合、コンバージョン率(制約率)は高くなると言われています。
対して、マスアプローチは、不特定多数が対象となります。
従来は、テレビや新聞、雑誌などの広告が主でしたが、最近は、インターネットなどを駆使したデジタルマーケティングが一般的となりました。
この場合、広く多くの人たちに提案を拡散させることは可能ですが、コンバージョン率は低くなると言われています。
もちろん、業界にもよりますが、どちらの手法が優れているのかではありません。
しかし、従来、日本にはマーケティングと言う考え方がなく、アプローチ手法といえば、パーソナルアプローチのみに委ねられていました。
そのため売上を上げるには、営業パーソンが、一件、一件、お客様に訪問して商談するのが一般的でした。
売上は、概ね訪問件数と比例することから、成績の優れた営業パーソンは例外なく訪問件数が多くなり、そのような営業スタイルをドブ板営業と称されたりもしています。
パーソナルアプローチだけで売上を高めようと考えた場合に ①時間的制約 ②経済的制約 ③精神的制約 があるといわれています。
しかし、訪問件数を多くしようにも、必ず時間的な限界があります。
無理に増やそうものなら、1件あたりの商談の質あるいは、コンバージョン率を落としてしまいかねません。
マーケティング先進国である米国では、マーケティング関連に投じたコストの費用対効果を観測するKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として、ROMIを用いることが増えています。
ROMIとは、Return On Marketing Investmentの略で、マーケティング投資回収率のことです。
訪問件数を増やすことで、旅費交通費、残業などの経費が増えてしまいかねません。
さらに、パーソナルアプローチは、当然、生身の人間が行います。
常に限界に近い多くの訪問件数を維持しようとすれば、精神的あるいは身体的な負担も高まるともいえます。
しかしながら、だからと言って、営業パーソンを増員しては、ROMIを圧迫させてしまうジレンマに陥ることになります。
|デマンドジェネレーション
パーソナルアプローチに対して、マスアプローチとは、ホームページ、展示会、広告、メルマガ、FacebookなどのSNSなどの媒体を通じて顧客との接点を深めます。
当然、マスアプローチだけでは、パーソナルアプローチの様にコンバージョン率は高くなりません。
また、そこで得た情報そのままでは、雑多であるため価値が高くありません。
そのため、マスアプローチとパーソナルアプローチをつなぐ、デマンドジェネレーションが非常に重要となります。
デマンドジェネレーション(Demand generation)とは、消費者が商品やサービスを購入するまでの心理プロセスである「AIDMAモデル」に準じた取り組みとも考えられます。
具体的には、マーケティング部門が、データの収集(リードジェネレーション)→啓蒙・育成(リードナーチャリング)→絞り込み(リードクオリフィケーション)を経て、見込み需要を創出して営業部門に渡す取り組みです。
このデマンドジェネレーションを経た情報で、営業がパーソナルアプローチを行うことで、コンバージョン率の高い営業活動を可能とします。
これを自動化、可視化させたソフトウェアであるマーケティングオートメーション(MA)を導入している企業も増えてきました。
そして、最も重要となるのが、マスアプローチからシームレスで、パーソナルアプローチに連携することです。
また、この取り組みを短期的ではなく、繰り返して中長期的に継続実施することが、結果的にROMIを向上させていくことにつながるのだと捉えております。
ベンカンでは、その事業価値の拡大に努めております。
また、その事業価値を如何にして、顧客の皆様にお届けさせていただくかも重要な課題として捉え、パーソナルアプローチを主体として、マスアプローチの強化にも努めております。
それは、社内のROMIを向上させるだけではなく、結果的に企業の目的である「顧客の創造」につながると考えております。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長