戦略人事「ジンザイ育成」
- 2012.12.07
|戦略人事
企業は、その目的を果たすために、経営理念に基づいた戦略を立案し、それに沿って事業活動をマネジメントします。
そして、それらの活動には、資金調達、販売、人材管理、経営管理などの諸々の力の集合体である経営資源が不可欠となります。
経営資源とは、一般的にヒト、モノ、カネ、情報といわれています。
この経営資源を必要な部署や取り組みに供給するのも、インフラストラクチュアの取り組みとなります。
なかでも、筆頭の「ヒト」、つまり人事の重要性が高まっています。
従来型の人事とは、労務・法務などの制度やマニュアルなどのオペレーション業務ばかりに固執した保守的、定型的な前例主義がほとんどでした。
対して、現代では、労働力不足が深刻化していることや、それを補う意味での機械化の技術革新によって、個々の人材には、よりクリエイティブ性のある能力と発揮が求められるようになっています。
反面、従来の経営戦略では、戦略的に人事を捉える意識が低かったといえます。
故に、今後は、人材と組織の側面から変革をリードしていく戦略的人的資源管理(以下、戦略人事)が重要視されています。
|ジンザイ
組織は、様々な能力を持った人材で構成されています。
そして、 如何なる組織においても、[ 262の法則 ] が存在すると言われております。
[ 262の法則 ] とは、組織を構成する人材が、その特性によって、 [ 20% 対 60% 対 20% ] に分かれる傾向にあることです。
それを、[ ジンザイ ]に例えて表現した考え方があります。
企業が、その目的を果たす上で貢献している優れた20%が [ 人財 ]です。
実際、パレートの法則では、組織の8割の成果は、20%の [ 人財 ] によるものであるともいわれるように、組織の財産的な存在です。
そして、上司や周囲にサポートを受けつつ貢献しているのが60%の [ 人材 ] です。つまり、組織にとって、一般的な存在です。
さらに、まだまだ、貢献に至っていないのが20%が[人在]です。
[人在]には、大きく二通りあると考えられ、経験値が低いために貢献できないケースと、そこそも貢献意欲が低いケースがあります。
戦略人事において、経営資源の筆頭であるヒトの育成、つまり、ジンザイ育成は非常に重要です。
| ジンザイ育成
ジンザイ育成の観点で参考にさせていただいているのが、日本サッカー協会(JFA)の選手育成コンセプトです。
サッカーは、世界で最も普及し、人気のあるスポーツであり競技です。
ヨーロッパやラテンアメリカの強豪国に対して、日本は、決して強豪の域にはありません。
しかし、その様な現状の中、世界トップ10を目指すことを宣言し、その重要策として選手の育成に力を注がれています。
故に大切なのが、様々な意味合いでの広い視野です。
特に興味深いのが、「JFAグラスルーツ宣言」です。
グラスルーツとは、直訳すると「草の根・根本・みんなの」という意味です。
つまり、日本代表を強化するには、分け隔てなく、多くの国民にサッカーを楽しんでもらえる環境づくりが必要だという考え方です。
ベンカンにおいても、会社を強くするには、決して、20%の[ 人財 ]だけに依存しないことです。
まずは、組織の60%をも占める[ 人材 ] に、現状と目指すべき [ 人財 ] を如何に意識させるかだと考えます。
また、[ 人在 ]に対しては、貢献できない[ ジンザイ ]だと決めつけることなく、経験値を上げさせることと、意識改革の機会を提供させ続けることが大切であると考えます。
つまり、戦略人事において、「グラスツールなくして会社の強化はない」、つまり、組織を構成する大多数ともいえる[人材]と[人在]を如何にして[人財]にすべく取り組む「ジンザイ育成」が非常に重要となって来ます。
その意味でも、学ぶ機会である「キャリアアップ研修」を全社員に平等に提供するようにしています。
勿論、「キャリアアップ研修」は受講しただけでは評価することは致しません。
しかし、高めた能力を発揮し、社業に貢献してくれた暁には、適正に評価する人事制度としております。
我妻 武彦(Takehiko Wagatsuma) 代表取締役社長