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コラム

プレス式継手の歴史

  • 2018.03.22

|新規事業へのチャレンジ

 

配管とは、液体・気体などの流体を管の中を通して送る設備を意味します。

また、配管継手とは、管(パイプ)が直(ストレート)方向であるのに対して、管と管を接合すると共に、方向を変える(エルボ)、分岐させる(チーズ)、径を絞る(レジューサ)、止める(キャップ)などのための機材です。

 

株式会社ベンカンの歴史は、1947年(昭和22年)に設立された日本弁管工業株式会社に始まります。

その主力事業は、「溶接式管継手」と呼ばれる配管継手の製造・販売でした。(ベンカン機工

「溶接式管継手」は、管と突き合わせて溶接する信頼性の高い接合方式から、発電・ガス・石油精製・石油化学・造船・水処理などの基幹産業やプラントなどの配管では、極めて高い使用率を誇ります。

 

中でもステンレス鋼鋼管による配管、いわゆる「ステンレス配管」は、その耐久性、衛生性、強靭性から将来性の高い配管として注目されました。

反面、接合する上で高い溶接技術が求められ、その設備も大がかりなものでした。

 

ベンカンは、この優れた「ステンレス配管」を住宅やビルなどの一般配管分野に普及させることを課題として製品開発に取り組みました。

その発端は、「溶接式管継手」の事業をグローバル展開する中で、ヨーロッパで既に普及していた一般配管用の「ステンレス配管」の存在でした。

 

配管

 

 

|MOLCOの技術導入

 

1974(昭和49年)年10月2日、ベンカンはスウェーデンのAGA社との間で特許使用契約を締結しました。

AGA社は、ラジエターのメーカーで当時、「メカニカルジョイント」である[MOLCO]の特許を保有していました。

[MOLCO]は、スウェーデン人のラーソン兄弟が発明した「メカニカルジョイント」で、兄弟が生まれ育ったストックホルムの南の町である[MORKOM]の英語表記から名づけられたとされています。

 

「メカニカルジョイント」は、その構造や専用工具を使用することで、作業者個人の技能に左右されることなく配管接合の施工品質の均一性や工期を短縮させることが可能な配管継手のことです。

 

特に[MOLCO]は、継手本体にパイプを適正位置まで差し込み、専用締付工具でプレスすることで均一かつ充分な強度と継手本体に装着されたゴムシール材により水密保持効果が得られるメカニカルジョイントの代表的な存在でした。

 

その後、ベンカンは正式に[MOLCO]の技術を導入して、国内生産する方針を決定します。

1976年(昭和51年)6月24日、ベンカンはドイツの大手鉄鋼メーカーであるマンネスマン社との間で技術援助契約を締結します。

同社は、既に[MOLCO]の技術を導入しており、ベンカンが、[MOLCO]を自社生産する上での技術援助を受ける運びとなりました。

また、自社生産体制を構築する上で、溶接式管継手を製造する上での塑性加工技術も多岐に渡って活かされました。

 

メカニカルジョイントの開発

 

 

|モルコジョイントの誕生

 

発売にあたっては、製品名をどうするかも議論となりました。

ヨーロッパで普及していた[MOLCO]でしたが、それを製品名にしているメーカーはなかったことと、開発者に敬意を示す上でも、製品名は、「モルコジョイント」と致しました。

後に開発者であるラーソン氏が工場見学のために来日した際には、自分たちが開発した[MOLCO]が、「モルコジョイント」として遠い異国の日本で厳格な管理下の中で大量生産されていることに感激されたと言われております。

 

「モルコジョイント」は、対応管である「一般配管用ステンレス鋼鋼管 JIS G 3448(SUパイプ)」の規格化と生産に合わせ、1975年(昭和50年)に発売を開始しました。

そもそも、ベンカンは大型プラントなどに使用されていた溶接式管継手のメーカーです。

対して、「モルコジョイント」は一般建築市場に営業しなければなりません。

つまり、全くコネクションのない状態から、ユーザーを開拓しなければなりませんでした。

 

当時の一般建築市場の主流は、「亜鉛めっき鋼管」を「ねじ込み継手」で接合する配管でした。

これは、鉄管の表面を亜鉛でメッキしただけの鋼管ですので、水道水の塩素濃度の影響もあって管内が錆びてしまうと、錆がコブの様に浮き出てしまい目詰まりを起こしてしまうのです。

また、勢いなく出てきた水は、通称「赤水」と呼ばれる赤茶色となってしまい多くの問題を抱えておりました。

 

対して「ステンレス配管」を採用することにより、その問題が解決されるのですが、大きなコストアップが障害となりました。

また、施工業者様からは、見たこともない工法で、尚且つ、簡単に接合できてしまう「モルコジョイント」に抵抗感を持たれる方々も少なくありませんでした。

 

モルコジョイント

 

 

|ステンレス配管の認知

 

「モルコジョイント」が初めて出荷されたのは、1976(昭和51)年4月頃の某水道事業向の700個でした。

また、同じ年に、某問屋様の在庫として全国の支店、営業所に対して、合計金額で700万円程度が出荷されました。

 

しかし、需要拡大を目指して継続的に営業を続けたにも関わらず、それ以来ほとんど出荷がない日々が続きます。

事務所にいても電話の一本もかかってこない、外に出れば、お客様からは、「ステンレス配管なんか聞いたこともない」、「専用工具を使う継手は使えない」、「水道工事はねじ切り機とスパナがあればいいんだ」、「専用工具が壊れたらそれで工事が止まってしまう」、「そんな高い継手は使えない」などと門前払いを受けながらの営業が続きました。

 

それでも環境も好転して行きます。

錆問題を抱える「亜鉛めっき鋼管」から錆に強い内面を樹脂で覆った「ライニング鋼管」や「銅管」が普及して来たのです。

その風潮は、同時に「ステンレス配管」に対する評価も高まってきました。

 

それは、1977(昭和52年)年4月、「モルコジョイント」にとって節目の月となりました。

戸建住宅の現場、1件、1件をかき集めて、売り上げが100万円を超えたのです。

そして、ここから不思議なくらいに引き合いや売り上げが絵にかいたような普及曲線の如く増え始めて行きました。

 

 

 

|公団住宅への採用

 

1979(昭和54年)年頃からは、住宅公団(現在のUR都市機構)様のストック住宅に対する改修工事用配管に「ステンレス配管」が検討され始めました。

 

公団住宅も、例外なく「亜鉛めっき鋼管」による錆の問題を抱えられておりました。

しかし、その当時の公団住宅はコンクリート造りで、配管はコンクリートの壁の中に埋め込まれている構造でした。

当然、これをそのまま改修するとなれば、壁を壊さなければならず、大変な工事になってしまいます。

 

そこで、当初は、亜鉛めっき鋼管の内面を樹脂で覆った「ライニング鋼管」を使用して、壁の外に露出させたまま配管が行われておりました。

しかし、内面は樹脂で覆われているものの外面は亜鉛めっき鋼管のままですので、風呂場や台所のような水廻りの配管となると、外面から錆びてしまう、新たな問題を抱えておられました。

しかも、既に人が住んでいる住宅の改修工事では、工事を速やかに完了させなければなりません。

 

その点、「モルコジョイント」によるステンレス配管は、管の内面も外面も錆に強いステンレス鋼です。

さらに工事では、作業時間が従来より大幅に短縮されました。

ねじ切り(切削)を行わないので「油臭くない」、銅管のハンダ接合のように「火を使わない」ために火事の心配がないなど、その特長をすべて活かすことができたのです。

何度かの試験配管を通して、「モルコジョイント」の特長を再認識していただくことになり、これを機会に正式採用の具体化が進みます。

また、元々、改修工事をメインにアイテム設定しておりませんでしたので、「座付き水栓エルボ」、「座付き水栓ティ」、「樹脂製絶縁継手」など幾つかの新しいアイテムが開発されました。

 

1981(昭和56)年4月、本格的に公団住宅の赤水改修工事に採用が決まり、大阪の池田五月山団地で初めて本格的な工事が行われました。

それ以来、現在に至るまで継続的にご採用いただき、赤水改修工事以外にも浴槽や風呂釜の取り替え工事など様々な工事範囲にご採用いただき、その数は、数十万所帯にのぼると思われます。

 

露出ステンレス配管

 

|ダブルプレスへの誕生・更なる発展

 

しかし、新たなる問題が生じました。

施工不具合による事故の発生です。

「モルコジョイント」は、継手本体にパイプを適正位置まで差し込み専用締付工具でプレスします。

 

ところが大型現場となると多くの作業者が従事されることから、施工要領が徹底され難くなります。

結果、パイプを適正位置まで差し込まなかったり、そもそものプレス忘れもあり、後に継手本体からパイプが抜けてしまう事故が起きてしまったのです。

 

ベンカンとしては、施工講習会の開催を徹底しましたが、それだけでは限界がありました。

そこで差し込み不足ではプレスできない専用締付工具を開発したり、プレス忘れを未然に防ぐチェックシートや検査するチェッカーなどを用意しました。

しかしながら、継手そのものに改良を施すのが最良として大手ゼネコンの技術者からのアドバイスにより開発されたのが「ダブルプレス」です。

 

「ダブルプレス」には、差し込み不足あるいはプレス忘れの場合、水圧試験などの定めた処置を行うことで施工不具合を発見することが可能なセーフティーエッジとセーフティーリングが採用されました。

以降、大型現場を中心とした「モルコジョイント」の需要は、「ダブルプレス」へ移行され、その需要は順調に伸びております。

それでも、現在でも根強い「モルコジョイン」ファンのユーザー様も多く、ベンカンでは、「モルコジョイント」と「ダブルプレス」を併売させていただいております。

 

また、銅管用の「CUプレス」、樹脂管用の「JPジョイント」、銅管からステンレス配管へ変換する「CS変換ソケット」などの継手を始め、施工性を向上させる新型の締付工具も順次開発しております。

プレス式継手は、ベンカンのパリュープロポジション(独自の強み)であると認識しております。

今後も試験、研究、改良を続け、よりユーザーの皆様のニーズにお応えできるような製品と発展させてまいります。

 

ダブルプレスとモルコジョイントの違い

 

 

田中 利憲(Toshinori Tanaka) 営業部 部長

 

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